平安毒鬼姫の雅なる施し 毒を喰らいし姫、願はくば世を救わむ
月兎アリス/月兎愛麗絲@後宮奇芸師
一 毒を滋養と為し姫
一 肉の生えた姫
そのとなりに埋もれていた
「冬をしのごうとする
凍えるような寒さのなか、女の
「お願いします、お願いします! どうか……私の娘を、治してください!!」
「確実に治せる方法はありません。……よいですか。《
まだ病因もわかっていないのですから、と、父が女をなだめる。雪の庭のなかで立ちどまっていると、ふいに振りかえった父と、目があった。
「……
(まったく、《
しかたない、しかたない、と白い息をついて、雪をおとしてなかにはいった。
「……ほんとうに、娘は治るんですか!? し……死ぬなんて、縁起のわるいことは、云いませんよね……?」
「もちろんでございましょう」
蓉子が触れたのは、患者である娘の首もとだった。小鳥がのっている――否、肉が盛りあがってできた肉塊だ。
「……失礼ながら、彼女は、小鳥を飼っていました?」
女――母親は、
「は、はい……娘は、
「庭の
声がふるえるたびに、娘の首の
「娘は、
(そういえば
「では、
(《
母親は、いとしき娘を抱きすくめ、そして
「ああ……まことにありがとうございます!!
いえいえ、と蓉子は口角をあげる。
(まだ治っていないのにな)
と、母親は、蓉子の顔をまじまじとみて、数回まばたきをした。そして、眉間に
「……ねえ、
「……おしろい、ですか? 今朝の汁物にとかしましたが」
「よくみたら……口紅は?」
「もってません」
「……もしかしてだけども、貴女、
「はい」
うすい
「や、やっぱり!! あの《
娘を助けてくれてありがとう、これっきりだ、と。母親は、
蓉子は、ぽつりとぼやく。
「私って、そんなに気味がわるいのでしょうか」
「……婚姻適齢になっても気づかぬとはな。常識はずれも
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