爆発しろ

やってみる

第1話 私

「ふーんそうなんだ」

SNSで次々と流れる動画

知れば便利だが、すぐに忘れて使う事のない裏技。驚きの技術の絵。素晴らしい出来の料理。

別に見たくない。できれば辞めたいのに。

現実逃避だ。学校がつらい。いや、自分が嫌なんだ。


4月。今度こそと思うが、他人頼りで勇気がなく友達ができない。お昼ご飯が一番の苦痛だ。なんとか声をかけ一緒に食べる仲間に入れてもらうが、会話がわからない。興味もない。黙々と食べて、すぐに図書館で過ごす。トイレと図書館だけが学校で安らげる場所だ。


ある日、本を読んでいると授業開始のチャイムで我に返る。図書館は校舎のはずれにあり遠い。すでに人気のない階段を駆け上がっていくと、踊り場に赤い物がある。

え?ミニトマトだ。一つ転がっている。

誰の昼食だったのだろう。このままふみ潰されるのか。

ふと、拾い上げると階段の窓枠に置いた。明るい窓辺。

教室にそっと入ると、教師がチラリとこちらを見ただけで、私がいなくても何も変わらない。無意味。

勉強しない教科は最高点を取り、必死で暗記した教科は赤点だ。


しかし、ミニトマトがあんな所にある事を思うと少し楽しくなった。


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