第8話

私は思いもよらずに

驚いてしまって足を二歩下げた。

「すいません、米田さん。

米田さん聞こえてますか」

応答は未だなく、私はその冷たい汗を

拭うこともできずに立ち竦む。

もう一度、もう一度と。彼女に呼びかける。

しかしながらまだ応答はない。

人形と様子はというと、

相変わらず変わらないままで、

起き上がったままの体勢を保っている。

やはり気味の悪いそれは、首を少しずつ動かしながら、私の目を見ようとしているのをみた。

見るな、見るなと心で唱えるが、

やがて再びその目と目が合わさった。

私を見下ろすようにして。

その突如インカムに彼女の声が

飛び込んできた。

『私が、私が悪かったの』

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