地上の遺構より
なめらか
はじまり
どこか遠く。地球と同じく自ら光り輝くような惑星。そこで繁栄していた人類のようなものがいました。
この宇宙は半端なく広いです。その中で何度も何度も神様が確率の遊びを繰り返した結果、偶然にも人とほとんど同じ生物が誕生し、その星に生息していました。彼等自らの種族の呼び名は、こちらの言葉に無理やり訳そうとすると、やはり「人」でした。これは、そしてこれらは、そんな「人」と機械と、それはまぁ雑多な諸々のお話です。
少し退屈な、彼等の歴史の話をしましょう。
彼らはやはり私達と同じ様に高い知能を持っていました。それ故に沢山の便利なものが作られました。そして、沢山の暖かい空気が生産されました。
いつからでしょうか。それは半端ではない量となり、地上は約75℃(夏)にまでなるようになってしまっていました。彼らは意外にも省エネな生物なので呼吸に支障はありませんでしたが、タンパク質で構成された身体は大分それに耐え難くなっていました。
なので技術のある彼らは地下へと移動したのです。それが、とてもとても前。貴方達のひいおばあちゃんのひいおばあちゃんのひいおばあちゃんが生まれて間もないころのお話です。
「それが、この星の物語です!」
地下広場の中心で紙芝居を持った若い女性が目を輝かせ、自慢気に締める。退屈しのぎにと広場に集まった子供たちは不思議そうな顔でその女性を見つめる。その女性は、口と鼻を覆うように、いかついマスクのようなものを着けていた。
「ちきゅーってどこ?」
「おねーさんだれ?」
「どうしてそんなむかしのことおねーさんがしってるの?」
「それはねー、お姉さんが地球から光速に近いスピードでここに飛んできて対地球外外活動用生命維持装置を装着して過ごしているからだよー。長い間ここに居ても死なないからじっくりキッパリ調べられるって訳」
「なにいってるかわからない」
「分からなくても損はないよ、兎も角お姉さんが地球という星から来たことさえ分かれば」
恒星の光を模したランタンの下、明るく無為な時間が過ぎてゆく。
地上は、砂漠と化していた。人類が移住するのに最適だと見做されたのは間違いではなかったのだろう。今となっては違うが。
帰りのポッドは砂に埋もれ遺物の1パーツと成った。もう、帰り道も無いし帰ったところ向こうも同じようになっているだろう。
ニコニコと、女性は語る。この星の昔話を。
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