能力世界転移~異世界転移からの復讐譚~

宵野雨

第1話 異世界転移!?

「うん?」




目を開いて目に映った景色に見覚えがない。とりあえず、辺りを歩いてみないことにはどうしようもないか。そう思った僕は立ち上がり、歩き出す。




10分くらい歩き回ったところ、ここは森の奥で抜け出すことはかなり難しそうだと理解した。森の中に家か集落があればいいのだが。


そう考えながら歩いていると、僕の存在に気づいたのか何かが藪の中から飛び出してきた。出てきた存在に目を向けると、そいつは長い爪を持つ大型の動物らしきものだった。


とりあえず、言えることはこいつはとんでもなく強い生物で僕の知らない生物だ。まず、立ち向かった時点で負けることは確定で僕には逃げる以外に選択肢がなかった。直ぐに僕はそいつに背を向け走り出した。




しかし、そいつは大柄の身体に反してとても速い速度で追いかけてきた。死を確信した僕は目を瞑った。そして数秒が経ったが僕には死が訪れることはなかった。。


そして、目の前から




「大丈夫?」




と女の人の声がした。一瞬、何が起きたのかわからなかったが、目を開くと女の人の姿と血塗れの怪物の姿があった。彼女は赤い髪のポニーテールをした15、6歳くらいの少女だった。女性助けられるって男としてどうなんだとは思うが、間違いなくこの少女は僕より強い。仕方ないよね?まあ、感謝は伝えないといけないか。と思い僕は立ち上がって、




「助かったよ。ありがとう」




と言った。




「大丈夫ならいいけど、ところで君の家はどこにある?」




その質問に僕は住所を言ってみたが、彼女は僕の言っていることが分からないようで、終始不思議そうな顔をしていた。知らない人に住所を言うのはどうかと思うかもしれないが現在地がどこか分からない以上仕方ないだろう。




「そんな名前の場所この世界にないと思うけどなぁ。嘘を言ってるんじゃないよね?」




「嘘じゃないって」




「うーん、じゃあどうしてこんな場所に居たの?ここは普通の人間が居たらさっきみたいな獣に殺されちゃうよ。さっきの様子から能力者って訳でもないだろうし」




能力者とは一体なんだ?


「えっと、なにかおかしなこと言った?」


「能力って何かな〜って」


その台詞に彼女は少し驚いた顔をして、




「能力を知らないの?」




と言った。その質問に僕はこくりと頷いた。




「この世界で知らない人なんていないと思うけど。能力っていうのはね、人が稀に持っている特殊な力の事で、私の場合、刃物を操る能力だよ」




そう言って、彼女は宙にナイフを浮かべて、自由自在に動かす。その光景に呆気にとられていると、




「その様子だと本当に知らないみたいだね」




とため息を吐きながら彼女は言った。それから少し考えるような仕草をして、




「よく分からないけど、まあ分かるまで私の家に居たら?能力がない以上この森から出るのは不可能だし。私も諸事情でまだ森から出る訳にはいかないし」




と言った。




「誘拐する気ですか?」




「じゃあここで殺されますか?」




「すいませんでした!」




「それでよし」




物好きもいたもんだ。見知らぬ人を家に入れるとか危ないったらありゃしない。まあ、僕はあんな事しないけど。したら殺されるから!どう考えても彼女に勝てる気はしない。


そしてしばらく歩いて、簡素な木の家の前にたどり着いた。


「ここは仮拠点だから快適ではないけど。どうぞごゆっくり」




「いえ、こんな私に家を貸してくださることだけでありがたい限りでございます」




「そう固くならないでよ。話しにくいし」




「はい。分かりました」




「本当に分かってるの?」




「はい。もちろんでございます」




「分かってないじゃん!」




「いえ、そんなことはございませんよ」




「次その喋り方したら追い出すから」




「わかった」




「そう、それでよし」




 こんな状況で固くならない方がおかしいと思うのだが?




「じゃあ私は狩りに行ってくるから。留守番お願いします」




そう言って彼女は家から出ていった。残された僕は家の中を見渡して、ゆっくりしてっていわれてもなぁ。と思うのだった。

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