第40話
「――というわけで! わたくし、桐生ルナはこの場で正式に貴方をスカウトいたしますわッ!!」
「スカウトってなんだァ!? 格闘大会か!?」
「違いますわよぉッ!! これはわたくしの個人的な――いえ、企業案件ですわッ!!」
「企業案件だとォッ!? つまり、スポンサー付き任務!?」
「ええっ!? お金の匂いがしますぅぅっ!!」
ユキが背中ごと後退りしながら警戒モードに入ってるが、俺はむしろテンション爆上がりだ!
「いいじゃねぇか企業! バトルに金が絡むなら、筋肉も本気出すってもんだッ!!」
「カイ様ぁ、筋肉がビジネスに直結しちゃってますぅぅぅ!!」
ルナって名乗った金髪お嬢様――っていうか、フリルで高級そうなマントひらひらさせてるけど、どう見ても金持ち系だ。
しかも、胸元には金属製の徽章。見覚えあるぞ、それ!
「お前、これ都市管理局の外郭企業“アブノマックス・コーポレーション”のバッジじゃねぇか!?」
「さすがね、よくご存じで。そう、わたくしはそこの筆頭重役でしてよ!」
「重役!? マジで企業のお偉いさんだったのか!?」
「若干十五歳ですぅぅぅ!? どういう経済センスですのぉぉぉっ!?」
ユキとミルフィが叫んでるが、俺は理解した。
要するに――
「都市管理局公認の民間討伐任務ッ! 個人発注型企業スポンサー契約! 略して“スポンサー任務”ってヤツだなッ!」
「略しきれてませんですぅぅぅぅ!!」
ルナはうんうんとうなずいて、次の言葉を口にした。
「具体的には……この近辺の異能物流ルートで、“荷物喰いアベレーター”が頻発してまして。配送用ドローンがことごとく墜落しているのですの」
「ほう……つまり、肉を運ぶトラックが襲われてるってことかッ!!?」
「肉とは限りませんけどッ!!」
「じゃあ守るしかねぇだろッ!! 肉と希望の物流をッ!!」
「正義の定義が妙に食事寄りですぅぅぅ!!」
ルナはくるりとマントを翻し、上から目線でにっこりと笑った。
「というわけで、任務内容はこうですの! 配送任務に同行、もしくは単独で物流ルートの安全を確保していただきます! 報酬は弁当五食分相当、特盛保証付き!」
「うおおおおっ!! 特盛ぃぃぃぃっ!? 受けたああああああああっ!!」
「即決!?」
「じゃあ早速、明日の早朝に物流ステーションへ集合ですわッ! わたくしも立ち会いますので!」
「いいだろう! 物流防衛任務、受注完了ッ!!」
「わーっ!? カイ様ぁっ! このお嬢様、絶対トラブル呼び寄せますぅぅぅっ!!」
ミルフィの声が虚空に吸い込まれる中、俺の心は早朝物流バトルに向けてフルスロットルだった!
*
そして次の日――
「――早朝、ステーション前到着ッ!!」
「早いですぅ……なんで夜明け前にテンションMAXなんですかぁ……」
「異世界じゃ夜明け前に砦を攻めるのが常識だったからなッ!!」
「またその異世界基準ですかぁぁっ!!」
俺たちは今、都市外れにある《メガ・ロジスティックス第3ステーション》って名前の施設前にいた。
でっかい倉庫に巨大コンテナが山積みされてて、その横にズラッと並んでるのが――
「配送用トレーラードローン! こいつで街まで荷物運ぶんだなッ!」
「はいっ、でも問題なのはその途中ですぅ! 物資を吸い取るアベレーターが、中継地点で待ち伏せしてるんですぅ!」
「なるほど、だからこの筋肉を呼んだってわけだッ!」
ルナも現地に来てた。相変わらずマントが風でパタパタしてる。
「今回は輸送班が不足してましてよ! 筋肉で補填、まさに合理的!」
「わかってるじゃねぇかッ!」
「褒めてないですぅぅぅ!!」
そこへ、事務所の陰からのっそり現れたのは――
「よっ、カイ。お前マジで来たんか」
「おおっ、レンさんじゃねぇか!?」
「今回の依頼、俺が後方支援。お前の暴走抑制の名目で現地監督ってわけだ」
「任務中、弁当つまみ食いはダメって意味ですぅ!」
レンさんはどっかで拾ってきたジャンクマップを広げながら言った。
「おそらく中継地点の山道、“配送ルートK-9”が狙われるだろうな。遮蔽物多くて視界が悪い」
「じゃあ、そこで俺が囮になって……バチーンと迎撃ってわけかッ!!」
「だから迎撃に擬音混ぜないでくださいぃぃっ!!」
ルナが手をパチンと叩く。
「それでは、輸送ドローン発進ッ! カイ様、最前線護衛任務、よろしくってよ!」
「任せろォォォォォッ!!」
ドローンがゴゴゴと浮上し、輸送コンテナを引きながら山道へ進んでいく。
俺はその真ん前を全速力で突き進む!
「さあ来い、物流破壊系アベレーターッ! 肉を運ぶ者に敵意を向けたその時点で、おまえはもう筋肉の審判対象だァァァァ!!」
「もはや敵が気の毒ですぅぅぅぅ!!」
「物流を! 筋肉で! 守るッッッ!!」
任務は新展開、筋肉はフルスロットルッ!!
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