第34話
拳がうなりを上げて風を裂き、一直線にアベレーターの顔面へ!
ドゴオォォォォォォンッ!!
命中一撃――霧を吹き飛ばして、その人面鳥のアベレーターの首がビキンッと曲がった。
「うおおっ! 手応えアリィィィィ!!」
鳥のくせにクチバシじゃなくて人間顔だったけどな! まあそんな細けぇツッコミは後回しだ!
「効いてますぅ! でも、まだ倒れてませんぅっ!」
「知ってる! けど――!」
俺は着地と同時に地面を蹴って、即座に二撃目へ!
「筋肉スピリット・ブレイク! 連打モードォォ!!」
ババババババンッ!!
ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!!
風圧で周囲のコンビニのガラスが全部砕け散るレベルの打撃を叩き込みながら、俺は叫んだ!
「これが異世界仕込みの筋肉式交渉術だあああああっ!!」
「交渉じゃなくて破壊ですぅぅぅ!!」
ミルフィがめちゃくちゃ怒ってるけど、そんなの関係ねぇ!
アベレーターはグラリと身体を傾け、ズズズ……と異様な鳴き声を上げながら浮上した。
「……アマ……イ……アマイ……ニンゲン……」
「なんか喋った!? しゃべってねぇ!?」
ユキがビルの陰から顔を出し、驚いた顔して叫んでた。
「高度な知性型アベレーターですっ! 自己認識ありですぅ! 対話の可能性も――」
「ねぇよッ!!」
俺は拳をブンと構え直した!
「筋肉で会話できない相手とは、拳と拳の会話しかねぇだろうが!!」
「カイ様ぁぁぁああっ!? なんという筋肉流言語学ですぅぅっ!!」
けど俺の言葉に反応したのか、アベレーターがくるりと空中で旋回。
両翼をバッサバッサと羽ばたかせて、黒い羽根をまき散らしてきた!
その羽根が地面に落ちた瞬間――
ズバッ!
地面が裂けた!?
「おおっ!? 羽根が斬撃だとぉ!? ロマンすぎるっ!」
「やばいですぅーっ! 接触したら確実に切断されますぅ!!」
「よし、回避しつつ接近だな!」
「いまそれしか考えてませんでしたよねぇっ!!」
俺は空中へ跳び上がった!
「いけっ、スパイラルチャージッ!!」
ぐるるるるるるッ!
回転加速突進! ビルの壁面を蹴って空中を斜めに突っ切り、そのまま敵の翼の付け根を狙って一撃ブチ込む!
「とりゃあああああっ!!」
ズガァァァン!!!
黒い羽根が一部吹き飛び、アベレーターの身体が横にぶっ飛んだ!
「くはっ……ざまぁみろっ!」
「カイ様っ! 翼の下に感情核らしき光反応がありますっ!」
「了解ぅ! そこを粉砕して終わりだな!!」
地面に着地するより早く、ビルのガラスを蹴って再加速!
「ユキ、援護任せたぞ!!」
「そんな! 勝手に振らないでくださぁいっ!」
でもユキは文句言いながらも、両手に氷刃を生成してた。優秀だな、天然だけど!
「こっちも行くぞぉぉぉぉ!! 筋肉マグナム・インパクトッ!!」
拳に渦巻く魔力のオーラが、空気を揺らす!
敵の翼の下――青白く脈打つ球体に向けて、全力の拳を叩き込んだ!!
「これが俺の!! 筋肉だああああああああっ!!」
ゴッ!!!
ズギュアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
青白いコアが破裂し、アベレーターが断末魔の悲鳴を上げながら霧ごと爆散した!
羽根も、顔も、異形の体も、全部――ぶっ飛んだ!
「ふっはああああああ!! 勝ったあああああ!!」
「カイ様ぁぁぁっ! か、カッコよすぎですぅぅぅっ!!」
俺はそのままポーズをキメて、バチバチと拳に残る魔力を振り払った。
「さーて、そろそろ表彰状とかもらってもいい頃じゃねぇか?」
「そんな都合のいいイベントは発生しませんっ!」
でも観客の声はあった!
「すげぇぇぇっ!」「あの魔法少女、まただぁっ!!」「ぶっ壊しすぎだけど、強いっ!」
「へっへっへっ、もっと褒めろ!」
だがその時――バキンッ!!
空から何かが飛んできた!?
俺の横をすれすれで通過したそれは――
バトン!? 青白いスタンバトンだとォ!?
「逃がさないって言ったでしょおおおおおおおおおおおっ!!」
「うわあああああああああああああっ!? セイラさん来たああああっ!?」
「はい、都市管理局の堂島セイラですっ!! 任意同行、強制的に発動しますッ!!」
「強制って言ってる時点で任意じゃねぇえええええええ!!」
逃走本能発動ッ!
「ミルフィ!! 逃げるぞッ!」
「毎度ですぅぅぅぅぅ!!」
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