第19話
朝ッ!!
俺は爆音と共にベッドから跳ね起きた!
「よっしゃああああッ! 学園潜入一日目、全力で行くぞおおおッ!!」
その瞬間、隣のベッドからユキが飛び起きてクッションを投げてきた。
「うるさい! 朝から叫ぶな!」
「目覚まし代わりだ!」
「こっちはもう起きてるんだよ!」
この三日間、ユキと寮で寝食を共にしてわかったことがある。
こいつ、朝は機嫌が悪い。
「カイ様ぁ、準備は済みましたかぁ?」
ミルフィが俺の肩にぽよんと乗ってきて、朝から元気ハツラツ。
「着替えは? スカートのプリーツは? 前髪の分け目もチェック済みですぅぅ?」
「完璧だ!」
俺は胸を張った。セーラー服の上からドンと拳を叩く。
「だからなんでそのポーズなんですか!」
ユキが即ツッコミを入れてきた。
「異世界の正装礼儀だ!」
「制服の上から筋肉アピールはルール違反ですぅぅ……!」
ミルフィが涙目で漂いながら、袖を整え直してきた。
「よーし、準備万端! 行くか、ユキ!」
「……せめて声のボリューム落としてからにしてくれ」
「俺のボリュームは筋肉に比例してる!」
「無駄にハイパワーな朝だな……」
ユキがため息をつきつつ、学園指定のブレザーを羽織る。
というわけで――
俺たちは、通学開始!!
久遠学園は、都市部のビル群の隙間を縫うように広がる、異能適性持ち専門の高等教育施設。
「うおっ、めっちゃ近未来じゃねぇか!」
俺は校門前で全力の感想を口にした。反射材でピカピカの校舎、空中庭園、校舎を囲むマジックフィールド。全部がテンション爆上がり仕様。
「完全に異世界感ありますぅ~」
「……これが現代日本の学校って信じられないな」
「よっしゃ、突撃だ!!」
「落ち着け!」
ユキの制止も聞かず、俺は一番乗りで校門をブチ抜――
「って誰がブチ抜くかーッ!!」
俺は急ブレーキをかけてピタリと停止。さすがにこれは社会的にまずい。
「よく止まれたな……」
「筋肉制動だ!」
「そのスキル、学園生活では抑えてくださいぅ……」
職員に案内され、俺たちはそのまま教室へ直行。もちろん、一年B組。クラスのドアが目前だ。
「よーし、潜入開始だ! ここからが本番だ!」
「頼むから叫ばないでくれ!」
「オッケー!」
ドアをガラッと開けた瞬間――
「「えっ、転校生……二人?」」
クラス全体がピタリと静まり返る。
俺とユキ、並んで教室の前に立つ。
「……」
「……」
「……っふふふふふ!」
耐えきれず笑みが込み上げてくる。
いやもう、教室という空間のこの“初対面アウェイ感”、たまんねぇな!
「神楽カイリです! 筋肉と青春、全力でぶつけていきます! よろしくなァ!」
「やめろぉおおお!」
ユキがうしろから俺の背中を引っ張って倒れそうになった。
「僕はユウです。普通に、過ごしたいです」
「その発言だけで、もう普通じゃないって伝わってますぅ……」
ミルフィが頭を抱えながら、俺の肩でぐったりしてた。
教師はというと、ちょっと苦笑いしながら頷く。
「えー……元気の良い子と、冷静な子が来ましたね。神楽さんとユウさん、あそこの空いてる席へ」
指定されたのは、教室の一番後ろと、その隣。
「よっしゃあ、ラッキーポジション!」
「喜ぶな、後ろはだいたい地雷の位置だぞ……」
「じゃ、二人とも、席についたら教科書出してねー」
担任が板書を始める。
俺は机に座ると、荷物からプリントを取り出す。異世界じゃ筆記用具なんて使う機会もなかったから、ペンを握るのはちょっと新鮮だ。
「……ふむ。椅子が固い!」
「そこ感想にするな!」
ユキが隣から突っ込んでくる。
だが、すでに俺はワクワクしてた。
殴るだけが任務じゃない。日常ってやつも、立派な戦場だ!
「よーし、学園生活――全力で突っ込むぞ!」
「頼むから突っ込まずに歩いてくれ!」
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