第10話

「よっしゃ、ユキ! まずは筋トレだ!!」


「えぇぇぇぇぇぇ!?」


ユキがめちゃくちゃ困惑した顔で俺を見上げた。いいぞ、その顔。青春って感じがして最高だ。


「いきなり筋トレって、おかしくないですか!?」


「おかしくねぇ!! 異能を制御するにはまず体力だ! これは異世界でも常識だったからな!!」


「そんな異世界常識、初耳ですっ!」


ユキが即座にツッコミを入れてきた。おお、いいぞいいぞ。異世界じゃ考えられなかった、きちんとしたツッコミだ!


「カイ様ぁぁぁ、せめて休ませてあげてほしいですぅ!」


今度はミルフィが必死に抗議してきた。


「元気なうちに叩き込むのが鉄則だ!!」


「何の鉄則ですかぁ!!?」


ミルフィが飛び上がって、両手をバタバタ振り回してる。


「まあまあまあ、とにかくだ。ユキ、俺についてこい!」


「は、はい……」


ショッピングモールの氷を割りながら、俺はズカズカ進んだ。


周囲の警備隊や野次馬たちが、「あれ誰?」「異能処理班?」「筋肉少女?」とかざわついてたけど、そんなことは知ったこっちゃない。


「筋肉は裏切らねぇからな!!」


「それ、今関係ありますかぁ!?」


ミルフィが速攻でツッコミを重ねてきた。


「ある!! 筋肉があれば、氷も熱気も全部ぶっ壊せる!!」


「理論が雑すぎる!!」


「うっさい! 俺は筋肉魔法少女だ、筋肉が理屈だ!!」


「もう何言ってるかわかんないですぅ!!」


ミルフィがぐるぐる回りながら天に昇っていった。戻ってこい。


ユキは、ひきつった笑顔で俺を見上げた。


「カイさんって、すごい人なんですね……」


「だろ!」


「すごい……というか、すごくめちゃくちゃっていうか……」


お、控えめな天然ボケツッコミきたこれ!


「ありがとよっ!」


「褒めてないですっ!」


ユキが超素直に即否定してきた。よし、ツッコミ役が増えたぞ!! ツッコミの多様化、バッチリだ!!


「よーし、それじゃ、記念すべき第一回特訓スタートだ!」


「え、ここでやるんですか!? こんなところで!?」


「当たり前だろ!!」


俺はモールのど真ん中で地面に手をつき、筋トレスタンバイ。


「まずは腕立て伏せだ!! 目標、百回!!」


「無理ですってば!!」


ユキが両手をぶんぶん振り回して拒絶してくる。


「いいからやれ!! 始める前に無理とか言うな!!」


「理不尽だぁ!!」


「だいたいな、異世界ではな、筋トレは空気を吸うくらい普通だったんだぞ!」


「どこの世界だそれ!!?」


ユキの必死なツッコミが心地良い。異世界だと、こういうノリってなかなかなかったからなぁ。いいね、現代異世界!


「よーし、いくぞー! いち! に! さん!」


「ひいぃぃぃ! カイさん速いですっ!」


「遅い奴は魔物に食われる!! もっと気合いだ!!」


「こ、この国、魔物出ないですよね!!?」


ユキの叫びに、ミルフィが横から冷静にフォローを入れる。


「出ませんけど、カイ様は例外ですぅ」


「どういう意味だよっ!!」


俺がピシッとツッコミ返すと、ミルフィがぽよんと飛びながら言った。


「カイ様は……えっと、存在が異世界災害みたいなものですぅ」


「それ誉めてるのかけなしてんのか微妙だなっ!」


「誉めてないですぅっ!」


ミルフィもきっちり断言してきた。いいぞ、二段ツッコミ。テンポ最高じゃねぇか!


そんなこんなで、地獄の(愛の)筋トレメニューをこなしながら、俺たちはますます仲間としての絆を深めていったわけだ!


この異世界都市で!


異世界帰りの俺、筋肉魔法少女・神楽カイが!!


最高に熱血で前向きな仲間を増やしていくんだ!!!

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