第42話 逆転の一手、幸運の真価
絶望的な状況。ラスボスの放つ巨大な闇のエネルギー弾が、俺たちに迫る。
仲間たちは傷つき、俺自身も満身創痍。もはやこれまでか……。
いや、違う!
俺は諦めない! 仲間を守る! 未来を掴む!
脳裏に、これまでの出来事が走馬灯のように駆け巡る。ゴブリンキングに追い詰められた時、ボルゴから金を脅し取った時、フェンを召喚した時……そして、深層で惨敗し、仲間を失いかけた時。
俺の力、【絶対幸運】。それは、単なる偶然じゃない。都合の良い奇跡が勝手に起こるわけじゃないんだ。
フォルトゥナは言った。「あなたの強い意志が引き金となり、力が覚醒した」と。
そうだ。この力は、俺の意志に応える。俺が強く望めば、可能性を引き寄せ、因果律すら捻じ曲げる!
「そうか……ただ待ってるだけじゃダメなんだ。俺が望んで、掴み取る……!」
俺は、心の底から強く、強く願った。
――この攻撃を防ぎたい! 仲間を守りたい! そして、あいつを倒したい!
「スキル【絶対幸運】、発動ォォォォォッ!!」
俺の全身から、金色のオーラが迸る! それは、これまでのどんな時よりも強く、眩い光だった!
瞬間、信じられない現象が起こった。
俺たちに向かってきていた闇のエネルギー弾が、突如として軌道を変え、ラスボス自身に向かって飛んでいったのだ!
「なっ……!? 馬鹿な!?」
ラスボスは驚愕し、慌てて自身の攻撃を打ち消そうとするが、間に合わない!
ドゴオオオオオン!!
凄まじい爆発音と共に、ラスボスは自身の攻撃に呑み込まれ、黒煙の中に消える。
それだけではない。ラスボスの足元の魔法陣が、なぜか暴走を始め、逆にラスボスの魔力を吸い取り始めた!
「ぐおおおっ!? な、何故だ!? 我が力が……!」
さらに、玉座の間の天井の一部が崩落し、巨大な瓦礫がラスボスめがけて落下してくる!
「こ、これも偶然だと……!? ありえん!」
ラスボスは、次々と起こる「ありえない」幸運――いや、俺が引き寄せた必然によって、確実にダメージを受け、弱体化していく。
俺は確信した。これが【絶対幸運】の真価。俺の意志が、運命を手繰り寄せる力だ!
「今だ! 反撃開始だ!」
俺は、まだ動ける仲間たち――フェン、リリア、ミャレーに叫んだ。
「カイさん!」「やった!」「グル!」
仲間たちの顔にも、希望の色が戻る。
俺は、覚醒した力(まだ不安定だが、意志で制御できる!)と幸運を組み合わせ、神剣エクスカリバー(レプリカ)を構える。
「喰らいやがれえええっ!」
俺たちは、再びラスボスへと突撃した!
俺の剣筋には幸運が乗り、面白いようにラスボスの急所を捉える。フェンの爪は鱗の隙間を正確に引き裂き、リリアの魔法はラスボスの障壁を絶妙なタイミングで打ち破り、ミャレーの短剣は的確に神経を断つ!
「ぐ……! おのれ……! 小癪な……!」
ラスボスは、予想外の反撃と、自身の力が思うように振るえない状況に、初めて明確な動揺と焦りを見せていた。
いける! こいつを倒せる!
俺たちの反撃によって、絶望に包まれていた戦場に、確かな希望の光が見え始めていた。
「今だ! 一気に畳みかけるぞ!」
俺は、仲間たちと共に、さらに攻撃の手を強めようとした。
だが、その時。
「面白い……面白いぞ、小僧!」
ラスボスは、不気味な笑みを浮かべた。その体から、さらに禍々しいオーラが溢れ出す。
「ならば、こちらも『本気』を見せてやろう! この世界ごと、無に還してくれるわ!」
まずい! まだ奥の手があったのか!? ラスボスは、最後の切り札を発動しようとしていた!
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