第8話 学院の日々3

 闘技大会は、初夏のさわやかな陽気の中で開催された。学校全体で行われるこのお祭り騒ぎは、厳しい学生生活の中での大きな楽しみの一つだ。


 早朝から剣術トーナメントが始まり、アビエル、レオノーラ、アルフレッドは順調に勝ち進んでいた。


「次の対戦相手は、3年のクレア=アギニールさんだって!優勝候補じゃないか。くそっ、せめて4回戦くらいまでは行きたいんだけどな」


 アルフレッドはトーナメント表を見ながらため息をついた。


「レオニー、次の次まで勝ち進めば、私と対戦できるぞ。負けるなよ」


 あと2つ勝てば、アビエルと対戦する。しかし、今残っているのはほとんどが2、3年生で勝つのは厳しい。トーナメントは勝ち進むほど相手が強くなるが、それがまた面白いところでもある。


「大丈夫ですよ。ちゃんとついていきますから」


 レオノーラは自信満々にあごを上げ笑った。アビエルも嬉しそうに笑みを返す。


「楽しみだな」


 闘技場からは、剣がぶつかり合う鋭い音が響いてくる。剣を落としたり、地面に倒れて手をついたり、戦意を喪失そうしつしたりした場合に、相手側に勝利が与えられる。力が拮抗きっこうした場合は、半時を目安に教授陣の審判によって判定が行われる。


「アルの試合を見よう」


 アビエルにうながされ、次に始まるアルフレッドの対戦を見るために、闘技場の観覧席に上がった。


 闘技場は3つの区画に分かれて試合が行われており、右の入り口近くで次のアルフレッドの試合が行われるようだった。対戦相手のクレアは、3年の中でも剣術で抜きんでていると言われている。レオノーラは、彼女の実力を気にしていた。


「はじめっ!」


 号令に合わせて間合いを取り、互いに剣を合わせる。キィンと剣先が弾かれる音が響き、アルフレッドは素早く攻撃を仕掛けた。アルフレッドの太刀筋たちすじはスピードがあり、間合いを詰めにくい。普段は飄々ひょうひょうとしているが、彼もまた高い能力を持つ剣士だ。押されているかに見えるクレアは、アルフレッドの剣を受けながら少しずつ後退していく。クレアが後ろに下がった瞬間、アルフレッドは前の空いたところに剣を伸ばした。


「あっ‥‥」


 レオノーラは思わず声をらした。目の端に、アビエルの口元がかすかに上がるのが見えた。アルフレッドが伸ばした腕と胴の間にできた隙間すきまを、クレアの剣が下からすくい上げるようにして叩く。甲冑かっちゅうの肘の部分が弾かれ、アルフレッドの剣が大きなを描いて空を舞い、地面に落ちた。


「勝者、クレア=アギニール!」


 クレアが兜を脱ぎ、アルフレッドに手を差し出して握手を交わした。闘技場の入り口まで下りると、アルフレッドが戻ってきた。


「くそー、いい感じだと思ったんだけどな」


「随分と誘われてたぞ。まんまとめられたな」


 アビエルが苦笑いする。


「終わってみると、あぁって思うんだよ。でも、やってる最中は自分がどれくらい相手に持ってかれてるかなんて分からないんだ」


 アルフレッドは汗で湿った前髪をわしゃわしゃと掻いた。


「自分の姿を俯瞰ふかんで見れないと、実戦でドツボにはまるぞ」


 アビエルの言葉に、アルフレッドは『終わってすぐに反省会なんてやりたくねーよ』とぶつぶつ言った。


「アル、お疲れ様」


 アルフレッドの傍らに、黄色いデイドレスを着た可愛らしい少女が白い手拭てぬぐいを持って現れた。


「デイジー!応援に来てくれたの?」


「残念だったね。いい試合だったと思うけど」


「悔しいな。勝ってるところを見せたかったのに」


「ごめんね、来るのが遅くなっちゃって」


 なんだか、目の前で2人だけの世界ができ始めている。


「あ、デイジー、この人たちは俺の仲間で、アビエルとレオ。アビエル、レオ、彼女は平民科のデイジーだ」


「初めまして、デイジー=クインです」


 ドレスの端を持って、膝を折り、ふわりと挨拶をした。まるで小菊の花を背負ったような可憐な少女だ。


「タリク語のクラスが一緒で仲良くなって、一緒に課題をやったり、お茶したりしているんだ。えっと‥‥お付き合いしてる‥‥って言っていいのかな?」


 アルフレッドは顔を真っ赤にして、デイジーに確認を取る。


「アルがそう言ってくれるなら‥‥私は嬉しいけど」


 ふふ、と笑い合う二人の周りに、やっぱり二人だけの世界ができていると感じた。デイジーがアルフレッドの袖を摘まんで引っ張る。


「あのね、大会に出場しない1年生の3つの科の有志で、向こうの木陰こかげにテントを張って休憩所を作ったの。その準備をしてて来るのが遅くなっちゃって。冷たいお茶や果実水を置いてあるから、良かったら来て」


 アビエルさんもレオさんもぜひ、と声をかけられた。『まだ試合が残っているので、一段落したらぜひ伺います』と答える。


「じゃあ、俺は体術のトーナメントまでそこで休憩することにするよ」


 アルフレッドはデイジーを見つめながら言い、見つめ返すデイジーは笑みを浮かべる。そして、まるで小菊の花畑を歩くような空気をまといながら、2人は去っていった。


「なるほど‥‥我々の試合は、どうでもいいわけだな」


 2人の後ろ姿を見ながら、アビエルがぽつりとつぶやいた。その口調が何やら可笑しくてつい笑ってしまう。


 次の試合は2人同時に行われたので、お互いに健闘を祈りつつのぞんだ。アビエルは2年生を相手に、危なげなく勝ったようだった。レオノーラの相手は3年生で、かなり苦戦した。


 やはり学年が上がると経験値が高く様々な戦略があり、普段の授業とは違う難しさがある。年齢が上だと体も大きく体力もあって、剣で押されると我慢が効きにくい。できれば速攻を仕掛けたいが、相手もそれを分かっていて、なかなかそうさせてくれない。それでも、かろうじて低いところに潜り込み、足元を叩いて相手の膝を折らせ、勝利をつかんだ。『あの間合いで上から剣を振り下ろされていたら負けていた』ギリギリの勝利を自覚しつつ、あと一つ、何としても勝ちたいと思った。兜を脱いで対戦相手と握手をしていると、奥の試合場からアビエルが歩いてきた。


「お疲れ。息が上がっているぞ。やはり上級生は戦術がたくみだな」


 アビエルが肩をポンポンと叩いた。


「自分の望む試合展開にするのが難しいです。皆さん経験豊富で、よく分かっていらっしゃいますから」


「そうだな。こっちの動きをかなり先読みされている感覚になる。さすが上級生だよな。アルの試合にも感じたように、相手の動きをこちらで誘導するのがいいのかもしれないな」


 力と技でなんとか相手を上回ろうとする自分と、相手を誘導して戦局を有利に進めようとするアビエルの考えは、根本が違う。彼は物理的な戦いだけでなく、策略を駆使した戦術にも長けている。さすが、生まれながらにして人の上に立つ者だ。じっと自分を見つめるレオノーラにアビエルが不審げな顔をする。


「なんだ、どうして黙って顔を見ているんだ?」


「いえ、アビエル様があまりにも優秀過ぎて、まぶしく感じていました」


 はぁ?という顔をしたアビエルに、


「おかしな奴だな」


 と剣の柄で軽く小突かれた。


 上位戦になってきたので、観覧席に人が増えてきた。次の試合では、相手の太刀筋を見ていたアビエルにアドバイスをもらい、少し優位に立てたように感じた。続くアビエルの試合は、試合会場の端から観覧した。相手は3年生でアビエルよりも体格がかなり大きい。


「はじめっ!」


 剣がぶつかり合う音がし始めた。アビエルの剣さばきは美しい。相手の攻撃を受け流しながら、自分のリズムに引き込んでいく。どれだけ相手が強く出てきても焦りを見せず、巧みに引いては戻す動きを繰り返す。


 幼い頃から同じ騎士に剣を教わったはずなのに、自分の剣とはまったく違う。その姿を見るたびに、アビエルの高貴さを痛感し、彼が自分とは違う世界の人であることを思い知らされる。れて足元を狙った相手の背中に、アビエルが剣を振り下ろした。


「勝者、アビエル=ランドルフ!」


 兜を脱いで相手の手を取り、立つのを手助けしながら、相手と言葉を交わし笑い合っている姿を遠目に見つめる。こんな皇帝に国を治めてもらえる国民は幸せだろう、とふと思った。


 アビエルが戻ってきて汗を拭きながら、嬉しそうに笑う。


「さぁ、レオニー。いよいよだな」


 試合には勝ちたいという気持ちでいっぱいだが、この人のこの笑顔には勝てる気がしない。


「負けませんから」


 微笑みながら言うと、アビエルが手甲しゅこうを外しながら、不敵な笑みを浮かべた。


「じゃあ、勝ったら私のお願いを必ず聞くということにしてくれ。私が負けたらお前のお願いをなんでも聞いてやるよ」


 『勝っても負けてもアビエル様のお願いは聞くんだけど』と思いながら、その賭けに乗る。


「いいですよ。ふふ」


 観覧席は人で埋まり、今や満席だ。残り3試合となり、試合会場を中央だけにして1試合ずつ行われることになった。自分の目の前にアビエルが甲冑姿で立っている。


「はじめっ!」


 開始の合図とともに剣を合わせた。速い動きでアビエルの剣を揺さぶる。アビエルは受けながらこちらへ来い、と誘うが、わかっているから行かない。駆け引きを繰り返しつつ、相手の隙を探す。朝の鍛錬では勝ち負けを競わないので、こんなやり取りは初めてかもしれない。


 まるで、この世に二人だけのような不思議な気持ちにさせられる。急にアビエルが誘いをひるがえし、『来ないなら行くよ』というように強く押し始めた。彼は、こんなこともできるのか。


 押されたので、相手の入る間を作ろうと思って引いたが、引いた分、隙間なく入り込まれてしまった。まるで自分の内側にアビエルがずぶりと入り込んだような感覚だった。


『まずい、逃げ場がない』


 前に入られて身動きが取れなくなったレオノーラは、考えろ、考えろ、と自分に言い聞かせながら、次の一手を模索もさくした。ガチンと剣がぶつかり合い、ソードガードが重なり合った。


 その瞬間、アビエルの瞳がフッと微笑んだ気がした。手元の力が緩んだと思った瞬間、絡んだガードを下に引き下げられて体勢が崩れた。アビエルが抜いたソードの柄でガツンとガードを叩き、自分の剣が揺れた。『くっ!』と歯噛はがみをしながら、落ちそうになったソードを両手で持ち直し、手甲しゅこうを使ってアビエルのソードの柄を押し上げた。おっと、と言うようにアビエルが後ろへ飛び退すさる。片手で剣を持ち直し、再び向き合った。


 再び剣を合わせ始める。キィンキィンと澄んだ音が響く。剣の当たるペースが徐々に速くなる。レオノーラは剣さばきをさらに速くした。『押されたら苦しいが、速さなら負けない』そう思った瞬間、微妙なタイミングでテンポがズレた。え?と感じた時には、ソードがわずかに空を切り、体が半歩前に倒れた。アビエルのソードの柄が、レオノーラの甲冑かっちゅうの肩をガンと叩き、レオノーラは膝と手をついた。


「勝者、アビエル=ランドルフ!」


 わぁぁぁぁ!と観覧席から歓声が湧き上がった。


「油断したな。生真面目な技だと損するぞ」


 アビエルは兜を外し、微笑みながら手を差し伸べてきた。


「なんと言うか‥‥はい、これからもっと精進します」


 アビエルの手を取り、立ち上がる。


「すごかったね。びっくりして声も出なかったよ。殺し合いしてんのかと思った」


 闘技場を出た瞬間、ガウェインがそう言いながら駆け寄ってきた。後ろにはルートリヒトやルグレンもいる。


「アビエルは、この後ロイさんとクレアさんの試合の勝者と対戦だね。このまま優勝しちゃうかも。さっきの気迫きはくだとあり得るよ」


 ルートリヒトが言うと、他の人たちも口々に「すごかった」「体が震えた」と言い始めた。誰かが持ってきた手拭てぬぐいで顔を拭いていると、内側から先ほどの対戦の興奮がじわじわと湧き上がってきた。楽しかった。気持ちよかった。あぁ、またやりたい。黙って座ったまま、頭の中は大忙しだった。


「どうした?肩が痛むのか?」


 黙ったまま座っているレオノーラに、アビエルが少し気遣わしげに尋ねた。


「‥‥いえ、あの、気持ち‥‥良かったです‥‥ね?」


 なんだか辿々たどたどしく、しかも同意を求める形になってしまった。アビエルは空色の瞳を大きく見開いて、その後、破顔はがんした。


「そうだな。無茶苦茶気持ち良かったな。こんな気持ちになったのは初めてだ」


 お互いに顔を見合わせて、笑いが止まらなくなった。


 試合場の方で歓声が上がり、アルフレッドが戻ってきた。


「おーい、アビエル、クレアさんが勝ったよ。次の次の試合で対戦。俺の分のリベンジをお願いね」


「アビエル様、健闘を祈ります」


 そう言うと、アビエルが耳元で、ささやいた。


「勝ったら私のお願いを何でも聞くって約束、楽しみだな」


 アビエルの背中を見送り、観覧席に戻って試合を待つ。クレアとアビエルが試合場の中央に立ち、開始の合図がかかると、観客は静かに集中した。剣が交わる音だけが響き渡り、世界を作り出す。


『あぁ、うらやましい。また、あそこに立って剣を交えたい』


 レオノーラは、クレアが、うらやましくてたまらなかった。


 拮抗きっこうした勝負が続き、どちらが優位とも言えない時間が流れた。クレアは押し負けない体幹があり、剣のスピードも速い。アビエルは、力で来る相手をいなすような戦術を使っていた。勝負はなかなか決着がつかず、長い攻防こうぼうの末、判定となった。いなす姿勢が戦意の低さと判定されたのか、勝利はクレアのものとなった。試合後、クレアがアビエルに熱心に何かを話しかけていた。


「彼女に、”あなたはとてもいい騎士になる。クレイン辺境伯領で騎士として働かないか?”と言われたよ」


 試合場から出てきたアビエルは苦笑いしながら、レオノーラの隣に座った。この後、クレアがアビエルの正体を知って慌てるだろうと想像し、思わず笑ってしまう。


 剣術トーナメント終了後、デイジーたちのいるテントに行き、一息ついた。


「レオ様、甲冑かっちゅうを脱ぐならその奥に敷布がありますわ。良かったら身軽になってから休憩なさったら?」


 テントにはコルネリアやルイーズもいて、剣士たちの世話を焼いていた。


「いえ、午後からの体術のために一度着替えるので、控え室まで行って脱ぎます。ありがとうございます」


 かぶとをテーブルに置くと、デイジーが、


「良かったらどうぞ召し上がって?」


 と果実水を持って来てくれた。それから、レオノーラの兜を見て、


「レオさんは、顔が小さいから兜も他の方よりずっと小さいんですね」


 と感心した様子で言った。礼を言って果実水を受け取りながら答えた。


「そうですね。よくある兜だとサイズが全然合わないので、これはアビエル様が職人に頼んで作ってくださいました」


 デイジーが、触ってみてもよろしいですか?と聞くので、手渡した。


「あら、随分と軽いわ。アルの兜よりずっと軽い。アルの兜は重くて持てなかったけど、これは持てるわね」


 そう言って、両手で持ってひっくり返してじっくりと見ている。


「ふふ、軽いですよね?これ、実は鉄じゃないんです」


 テント内にいた人たちが皆、え!という顔でこちらを向いた。アビエルは愉快ゆかいそうにその様子を眺めている。


「これ、実は竹を編んでできているんですよ。でも、軽いだけでは剣の衝撃を受けた際に防御ができませんよね。なので、バイザー以外の部分には内側から小さな鎖をつなげたものを叩いて伸ばし、貼り付けているんです。デイジーさん、中を覗いてみてください」


 デイジーが兜をひっくり返して覗き込み、


「まぁ、本当だわ。すごい‥‥」


 と呟いた。他の人たちも興味津々で見に寄ってきた。


「鉄の兜でも、剣で叩かれると振動で気を失ってしまいますよね。だったら、軽くて首が動かしやすい方が防御力が上がるだろうと考えたんです。竹を編んだ表面には、丈夫な紙を貼り、その上から灰を混ぜた漆を塗って鉄の兜のように見せているんです。だから雨も染み込まないし、丈夫ですよ」


 そう言ってコンコンと叩いてみせた。レオノーラの説明に、デイジーが、興味深々なようすでさらに中を覗き込む。


「レオさんのサイズだと私でもかぶれそう。かぶってみてもいいですか?」


 「いいですよ、ほこりっぽくて汗臭いかもしれませんけど」と言いながら、デイジーにかぶせる。


「まぁ、兜ってこんな感じなんですね。ちょっと重いけど、このくらいなら私でも横に首を動かせますわね」


 兜の下からは、くるくるした亜麻色の髪がはみ出し、なんとも愛らしい。レオノーラは、バイザーを上げて前が見えるようにしてやった。


「前が見えないと、さすがに転んじゃいますからね」


 顔を覗き込んで微笑みかける。デイジーは、レオノーラの顔を見た瞬間、フリルの袖から出ている両腕まで真っ赤になった。慌ててアルフレッドが飛んできて、レオノーラとデイジーの間に割って入る。


 午後に入り、体術のトーナメントのために控え室で革のアーマーを身に着けていると、アビエルがやってきた。


「肩は大丈夫か?」


「問題ありません。アビエル様とは、絶対に敵になれませんね」


 レオノーラは、笑って肩をぐるぐる回して見せた。


「何があってもそんなことにはならないから、大丈夫だな」


 アビエルも笑い返し、隣に座った。


 体術のトーナメントは参加者が30名ほどと少ないので、最大で5試合勝ち抜けば優勝となる。とはいえ、北方辺境の猛者もさたちは、縦も横もレオノーラの2倍はある。


 レオノーラの1戦目の対戦相手は、幸いにも同じ1年生で、勝利を収めることができた。次の相手は2年生の辺境騎士見習いで、背も高く体も大きかった。組み合った後、相手の勢いをうまく利用できず、敗れてしまった。


 アビエルは初戦を危なげなく勝ち、レオノーラが観覧席に着いた時にはちょうど2戦目に挑んでいた。対戦相手はルードルフだった。組み合った後、ルードルフの重心の低い攻撃をアビエルがうまくかわしていた。何度か攻防こうぼうがあった後、アビエルはルードルフの顎をグッと持ち上げるようにして締め上げ、もう片方の手で右手を捻り上げて地面に押し付けた。ルードルフが地面を手でバンバン叩いて降参を宣言する。アビエルはこの学院に来て、恐ろしく強くなったのではないか、と感じた。


 その後、3試合目で優勝候補のゴドリックと当たり、善戦ぜんせんしたが、敗れてしまった。体術の優勝者はゴドリック=グレイ=クレインだった。

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