第17話「交錯する意思──それぞれの正義」

正しいって、誰が決めるんだろう。


選ばれたからじゃない。

選び抜いたからこそ、

僕らは“自分の正義”で戦うんだ。


──天鏡学館・医務室。


リカは無言で窓の外を見つめていた。

拘束と仮面との対話は、彼女に深い余韻を残していた。


「……あんたたちに助けられたことは、感謝してる。

 でも、それだけじゃ足りない」


蓮司は小さく笑った。


「お前らしくないな。素直に礼言ったらどうだよ」


リカはふっと笑って立ち上がる。


「いいから、次の一手を考えなさい。時間がない」


霞はそのやりとりを見て、静かにうなずいた。


「そうね。もう“私たち”で動くとき」


──作戦室・夕刻。


四人が、円卓を囲む。

霞が端末で制御ログを確認しながら言った。


「コード異常の発信源……制御装置本体の場所が割り出せそうよ」


「そんなの、学館内にあるのか?」


「正確には“封印”されてる。昔の事件を知ってる者しか──」


ミチルがおずおずと手を挙げた。


「わたし……初めて、ちゃんと戦うの……

 足引っ張ったら、ごめんね」


霞は彼女の肩を軽く叩いた。


「背中は私が守るわ。あなたは、正面だけを見てて」


蓮司も笑う。「俺らも同じだ。最初はみんな怖い。でも、もう独りじゃない」


──コードノヴァ・本部。


紫苑は、幹部たちから報告を受けていた。


「仮面の動き……もはや制御不能です。

 彼は“コード解放”を単独で始めようとしています」


紫苑は眉をひそめる。


「俺の“自由の理想”を、都合よく利用する奴は……全部、切り捨てる」


だが、幹部の一人が言った。


「理想じゃ世界は動かない。

 現実を動かすには、“混沌”の力も必要なんですよ」


紫苑の拳が震える。

彼の中でも、“信じてきた正しさ”が揺れ始めていた。


──学館地下・制御区画。


仮面の人物が、封印された装置の前に立つ。


「選ばれることを拒んだ者にも、選択肢を与える。

 それが……本当の進化だ」


手をかざした瞬間、警報が鳴り響く。


──学館・暴走発生。


校舎内に異空間が発生。

光の歪みとノイズが広がり、現実が“書き換わる”ように揺れ始める。


「行くぞ!」

蓮司の声に、霞・ミチル・リカが応じる。


──4人の共闘。


霞が重力場で敵の動きを封じる。

リカがコード流れを分析、「制御ノードは右腕の裏」と告げる。


ミチルがその感情の“歪み”を読み取り、蓮司が一点を撃ち抜く。


「これが──俺たちの戦い方だ!」


──戦闘後。静寂のなか。


歪んだ空間に、ひとつの“文字列”だけが残されていた。


「お前たちの“自由”は、本当に“自分のもの”か?」


霞がそれを読み上げると、ミチルが静かに言った。


「私は……自分の足で、選びたいよ」


──コードノヴァ。


紫苑はひとり、モニターを見つめていた。


「……俺の正義って、なんだったんだろうな……」


(第17話・完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る