第28話
地上探索を開始してから三十分。
周囲を警戒しながら、瓦礫と化した街を歩く。
「リクト、あっちの建物……まだ使えそうだよ」
「行ってみるか」
ミアの指差す先には、外壁が一部崩れた小型のビルがあった。
高さは三階程度。生存者が隠れ住んでる可能性もゼロじゃない。
「警戒態勢。ナイフを抜け」
「了解!」
ミアが腰のナイフを引き抜き、背を俺に合わせる。
「《気配探知》発動」
周囲に生体反応はない。だが、それだけじゃ信用できねぇ。
「慎重に行くぞ」
「うん!」
入口のドアは破壊されていた。
踏み込むと、埃と油の混ざったような匂いが鼻を突いた。
「人がいた形跡は?」
「わかんない……でも、床に足跡がある!」
「どれだ」
ミアが指差した先を見ると、確かに埃が削れた跡があった。
「新しいな」
「最近誰か来たってこと?」
「ああ、三日以内ってとこだ」
「追う?」
「いや、まずは水源を探す」
「うん!」
ビル内部を慎重に探索する。
一階には使えそうなものはない。床が抜けかけた倉庫だけだ。
二階へ移動。
「リクト、こっちに台所跡がある!」
「いいぞ、ミア」
ミアが嬉しそうに走り寄る。
「蛇口、捻ってみてもいい?」
「ああ、だがすぐ引け。腐った水が噴き出すかもしれねぇ」
「わかった!」
ミアがゆっくり蛇口を捻る。
ギギィィ……
途切れ途切れに、水が滴り落ちた。
「……これって」
「まだ水道管が生きてる可能性がある」
「すごい!」
「だが、水質はわからねぇ。煮沸が必要だ」
「そっか」
俺は水を少しだけ容器に受けた。
「戻ったら検査する」
「うん!」
さらに探索を続けると、物置の奥で奇妙な装置を見つけた。
「これ……浄水器?」
「古い型だな。動けば奇跡だが」
「直せない?」
「やってみる価値はある」
装置を分解して内部をチェックする。
「ポンプとフィルターは死んでるな……だが、バッテリーは生きてるかもしれん」
「それって使えるの?」
「電源だけでもありがたい」
浄水機能は期待できないが、バッテリーとして流用できる可能性はある。
「持ち帰るぞ」
「わかった!」
ミアがせっせと荷物をまとめる。
そのとき──
カン、カン、カン、と鉄パイプを叩く音が聞こえた。
「リクト……?」
「来たか」
「何が?」
「生存者か、それとも──敵か」
《気配探知》を最大展開。
距離、三十メートル。人型二、獣型一。
「ミア、後ろに!」
「はい!」
ミアを庇いながら、俺はドアの影に隠れた。
「……おい、ここに誰かいるぞ!」
「物資かもしれねぇ、持って帰ろうぜ!」
耳に届いたのは、粗野な声。
生き残りか──だが、敵対的だ。
「リクト、どうするの?」
「迎撃する」
「うん……!」
ミアがナイフをぎゅっと握りしめた。
ドア越しに足音が近づいてくる。
「こっちだ!」
奴らがドアを蹴破ろうとした瞬間──
俺は一気に飛び出した。
「うおっ!?」
驚いた声とともに、敵の一人がのけぞる。
「遅い!」
俺は一閃、拳を叩き込んだ。
ゴッ!
男が呻き声を上げて崩れ落ちる。
もう一人が銃を抜こうとしたが、その前にミアが飛びかかった。
「やああっ!」
ミアのナイフが腕を切り裂き、銃が床に落ちた。
「チッ!」
敵は短刀を抜き、応戦してくる。
「ミア、下がれ!」
「でも──!」
「援護しろ!」
ミアが躊躇しつつも後退し、拾った銃を構えた。
「くそがあああっ!」
男が突っ込んでくる。
冷静にナイフで受け、反撃に転じる。
「甘い」
脇腹を突き、膝蹴りで崩す。
トドメを刺そうとしたそのとき、背後から唸り声が聞こえた。
「リクト、後ろ!」
振り返る。
獣型、四足歩行のミュータントが飛びかかってくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます