レベルアップとシャドロンの契約
俺たちとドラゴンの会話は、思った以上に長引いた。 エテルリアの歴史、ドラゴン同士の争い、人間がドラゴンの力を封じようとして失敗した話――色んなことを語ってくれた。
俺は真面目に聞いてたけど、ミチオは何度もあくびをしてた。リンに至っては一度俺の肩に頭を預けて寝ちまった。でも、「魔法の終末」って言葉を聞いた瞬間、パッと目を覚ましたんだ。とはいえ、二人とも疲れ切ってるのがありありとわかった。
「君たちがここまで耐えるとは思わなかったよ」とドラゴンが爪を組みながら言った。「他の人間は、私と話して10分もしないうちに逃げ出すんだ。」
俺は黙って頷いて、眠気をごまかす。隣を見ると、ミチオは洞窟の壁にもたれて口を開けたまま爆睡してるし、リンは……すでに俺の肩で寝息を立ててた。
「もしここで泊まりたいなら、許可するよ」とドラゴンは続けた。「ここはかなり安全だ。モンスターが入ってくることはない。」
俺は小さく笑った。「そいつはありがたい。遠慮なく泊まらせてもらうよ。」
文句も言わず、バックパックから布を広げて、二人のために仮の寝床を作った。リンには毛布をかけて、ミチオの口にはコウモリ除けの布を置いた。
洞窟の中は次第に静かになって、ドラゴンの吐息がほんのり暖かくて、寒さも和らいできた。ここに来て初めて、ほんの少しだけど、落ち着けた気がした。
でも、俺自身はまだ眠れなかった。聞きたいことが山ほどあったからだ。だから立ち上がって、ドラゴンが座ってる中央にゆっくり近づいた。
「なあ、もうちょい話してもいいか?」
ドラゴンは頷いた。「もちろんだ。こんな夜中にドラゴンと話す人間なんて、滅多にいないからな。」
ドラゴンの前に腰を下ろす。距離は大体3メートルってとこか。遠くでリンの寝言が微かに聞こえた。
「ここにどれくらい住んでるんだ?」
「人間の時間で言うなら、約5000年だな。」
……5000年?アカデミーで読んだエテルリアの歴史書より、ずっと前じゃねぇか。
「多くのことが変わった。昔、人間はドラゴンを尊敬していた。でも今では…恐れている。」 「生け贄の噂や、魔法の混乱のせいか?」
ドラゴンは頷いた。「それは私のせいではない。けど、時間がすべてを変えた。」
「それなら、外に出て説明しなかったのか?」 「もし私が現れたら、来るのは聞き手ではなく、狩人だ。」
……本当にこの世界は冷てぇな。
「俺はいくつもの時代を見てきた。神々、悪魔、大魔法使い…すべてが来ては去っていった。でも世界は進み続ける。」
聞いてるだけで、頭が追いつかねぇ。知らないことが多すぎる。
「そして今、世界は再び不均衡へと向かっている。」
その言葉のあと、なんだか頭がズキッと痛んだ。けど、ふとあることを思い出した。
――システムパネル!
最後に開いたのはいつだったっけ?そう考えた瞬間、青白い光が目の前に広がって、パネルが表示された。
ステータス、設定、経験値……うわ、めっちゃ上がってるじゃん。
「え?900から……5000!?」
眉をひそめて考える。あのとき、洞窟に入る途中でモンスターを一掃したからか?
迷わず、俺はレベルを上げた。 【レベルアップ! 12 → 13 → 14 → 15 → 16 → 17】
次の通知がすぐに表示された。 【ジョブ切り替えのクールダウン -50%/レベル。現在:0%】 【システムアップグレードがアクティブ:無限スキルモード】
「……新機能か?」
説明が現れる: 【無限スキルモード】 【ジョブとスキルを統合。すべてのスキルは名前を言うだけで発動可能。どのジョブにも縛られない】 【弱点:ユーザーがスキル名を知らない場合、そのスキルは使用できない。すべてのスキルはアクティブ形式である。】
……なるほど。これ、めっちゃデカい変化だ。もうジョブに縛られる必要はない。
さらに新しいタブが現れた。 【スキルデータベースにアクセス】
調べてみると、今まで知ってたスキルと比べ物にならないほどの可能性が広がってた。
「ブレイジングアイスソード」「ライトニングシャドウクローン」……は?「フライングパンケーキスラッシュ」?なんでそんなもんあるんだよ。
笑いがこみ上げてきた。
一通り遊んだあと、またドラゴンの前に戻った。 「なあ、お前って名前あるのか?」
ドラゴンはゆっくり振り向いた。「名前?私は名前なんて持っていない。」
「誰にもつけてもらったことないのか?」 「私はただの『古代のドラゴン』として知られている。」
「うわ…それ、ちょっと寂しくね?」
少し考えて、俺は指を立てて言った。 「それなら、俺が名前をつけてやるよ。」
ドラゴンは眉をひそめた。「構わない。けど変な名前はやめてくれよ?」
「じゃあ…シャドロンってどうだ?」
「……シャドロン?」
「シャドウ(影)とドラゴンを合わせた名前。かっこいいだろ?」
ドラゴンは黙ったまま、長いため息をついた。「いいだろう…受け入れよう。でも、他のドラゴンに話すなよ。俺は否定するからな。」
俺はニヤリと笑った。シャドロン。妙にしっくりくる。あいつ、いつも洞窟の奥に隠れてるしな。
――そのとき、またシステム通知が来た。
【おめでとう! 古代の存在に名前をつけました。追加効果:ドラゴンの精神的つながり。】
「は?なんだそれ?」
ドラゴンはニヤッと笑った。「言い忘れてた。俺の名前は契約の封印なんだ。」
「ま、まさか……」
「わざとじゃない。でも、古代のドラゴンに名前をつけるほどの奴なら、責任を取る覚悟があるってことだろ?」
「ってことは、今の俺……お前に縛られてんのか?」 「完全ではない。でも、これからは少し俺の力が使えるようになるはずだ。」
「……マジかよ。話が飛びすぎだろ……」
ドラゴンは静かに頷いた。
俺が寝る準備をしてたとき、ドラゴンの笑い声が洞窟中に響いた。
――こうして、人間とドラゴンの奇妙な関係が始まった。「シャドロン」って名前のな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます