第16話 住めば都、ようこそ貴族さま

介「勝田は兄弟居ないのか?」


悠「…………ん、いないよ!」


介「そうか」


……なんの間?

まぁ、いいや


誉「ほら、着いたぜ!ここの二階の階段際の……あ、おい!」


悠「凄い!凄い凄い!鉄板の階段だ!壁に蔦が張り付いてる!わぁ!凄い!映画みたい!」


俺からしたらお前の日常の方が映画みたいだっつぅの。


誉「ほら、着いてこいよ。気をつけろよ!その階段はおんぼろだからその白線から外れると崩れる可能性がっっ!!」


悠「な、なんだって?!」


けぇ!引っ掛かったぁ!


介「そんなわけないだろ……その白線の囲みは誉がチョークで描いたただの円だ」


悠「おのれ乃木誉ぇ……」


誉「ふっはっはっ!騙されたな勝田悠蔵よ!貴様が俺に勝とうなど100年早いのさ!」


悠「きィイイ!!」


介「大丈夫だ。勝田よ。お前は全てにおいて誉に勝っている」


悠「だよね!伊東くん!」


誉「介麿の裏切り者ぉお!!」


介「事実だ」


誉「へっ言い返せねぇよ!えぇーん!兄さぁん!……あれ?空いてるけど靴がねぇな?買出しにでも行ったかな?」


悠「あら?お家に居ないの?ご挨拶したかったんだけども」


コイツ俺の兄貴にまで媚び売るつもりか?


誉「まぁ、すぐ帰ってくるさ。此処は見ての通りド田舎で行く宛なんて限られてんだよ。街に出ない限りなぁ、でも街には行ってないみたいだ」


悠「なんで分かるの?」


誉「鍵開けっ放しだし、ほらここ。玄関の棚に定期が置いてあるだろ?兄さんは免許持ってんだけど、生憎家には軽トラしかねぇし軽トラは叔父さんが仕事行くのに使ってんだよ。だからたぶん買出しか、帰り道近所のジジババに捕まって話し相手にもなってるんじゃねぇかな~?兄さんはこの村ではアイドルなんだぜぇ?ジジババ限定だけどなアハハ!」


あれ、何で俺こんなに喋ってんだ?

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