風が吹いたら、世界が揺れる

No.108

第1話1-1「発端」



──世界は、ほんの小さな“ズレ”で崩壊する。


21世紀初頭。

異常な連鎖事故、制御不能な感染症の広がり、金融市場の暴走。

それらは単なる偶然とされ、誰もが自然災害や統計的な必然だと受け止めた。


だが、政府中枢の極一部だけは気づいていた。


「これは自然現象ではない。

局所的な確率の歪みが、世界規模の連鎖を引き起こしている。」


極秘裏に行われた国際協議の末、ひとつの結論が導き出される。


──局所的な確率歪曲現象、すなわち「確率操作源」の存在。


彼らの行動一つひとつが、

想像を超える世界的連鎖反応を引き起こしている。


対応策として、世界から存在を隠した新たな機関が設立された。


──《因果統制局》。


表の歴史には存在しない。

知る者は、各国政府の中でも数名に限られていた。


因果統制局の任務は、ただひとつ。


確率操作源──

その存在を制御し、世界の因果律を正常に保つこと。


そして今、再び世界を左右しかねない「確率源」が出現した。


──田中健太。


たった一人の、冴えない男が、

世界の未来を揺るがそうとしていた。


【続く→1-2「配属」】

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