付属品の俺と聖者のなり損ないは腫れ物同士仲良くしていくことにした

むむに

急な異世界召喚……だが

「これは間違いない……聖者様だ……!」

「聖者様が召喚されたぞ!」

 辺りが騒然とする。周囲を見るとあまり見ない服装の人間が何人かいる。それこそゲームとかフィクションでしか見ないような……

「突然申し訳ありません。立てますか?聖者様」

 その中から1番豪華で質の良さそうな服を着た男が手を差し伸べてくる。

 横にいる俺と同じ状況の男……兄、清水晃に対して。

 ――――――――――――――――――――

 少なくとも数十分前までは仕事をして家に帰るというごく普通の生活をしていた。

 「ただいまー」

 おかえりーと聞こえ、兄の晃が姿を現した。

「兄貴、寝てなくていいのか」

「今日は結構調子いいんだ」

 兄は昔の病気が原因でとても身体が弱い。寝ているか座っているかのどちらかで過ごす事が多く、働くのはおろか外出すら厳しい。

 今日のように調子の良い日は少し家事をやる。夕飯を作ってくれたらしく良い匂いがする。

 リビングに行くと兄のスマートフォンから壮大な音楽が鳴っていた。

 あの音楽は今若者に流行っているらしいソーシャルゲームのものだ。さっきまでゲームをやっていたのだろう。

 俺はあまりゲームをやらないので詳しくは知らないが兄がハマっているらしくよく話を聞かされている。

 ある日「聖者」として選ばれた主人公が世界の問題を解決しやがらその世界のキャラクターと交流を深めていく。

「とても強い力があって、誰かに必要とされて……すごいよね」

「でも今日、飯作ってくれただろ」

「毎日できたらいいんだけどね」

 元々ままならない身体を持った兄が無力感で落ち込むことはあったが俺が高校を卒業して働きはじめてから1人の時間が増えたせいか更に落ち込みやすくなったような気がする。

「……ゲーム、途中だっただろ。片付けしたら一緒にやろう」

 結局話を逸らす事しかできなかったが返事をする兄はさっきより明るかった。

 食事と片付けをして2人でゲーム画面を覗き込む。

 画面には「この世界を救ってください」と書いてあり、選択肢として「はい」「いいえ」が選べるようになっていた。

「あれ、最後こんな画面だったかな……」

 兄は首を傾げたがストーリーのオート再生を止めたつもりでいたのだろうと結論づけられた。

 迷う事なく「はい」と押すと画面が白くなっていった。

 画面が真っ白になった瞬間、目が開けられないくらい眩しくなった。

 俺と兄が困惑している間に光は徐々に収まっていった。

 するとまるで周りに人がいるかと思うほどリアルな音響で声がする。

 目を開けると、そこにはあまり見ない服装の人間が何人か立っていた。

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