第7話 襲撃

 突発のお茶会は無事に終わり、大公の娘リンさんとの会食の時間になった。

「さて、ここから先の区画は大公の屋敷の近くで彼の息が掛かった連中が多いと思います。さすがに自身の娘との会食中に襲ってくることは無いと思いたいですが念のため補助魔法の『硬質化プロテクション』を自身にかけておいてください。あと、必ず先に俺が毒味はするのでお腹が空いていても先に食べないでください」

 

 馬車に揺られながら目的のお店に着くまでメルクさんと2人でお嬢に勝手な行動をしないように言い聞かせる。

「それじゃあ行きましょう。先に俺が行くのでお嬢はついてきてください」


 そういって馬車を降り、周辺を見渡し危険が無いことを確認してお嬢に手を差し出す。

「今のところ何もなさそう?」


 特には無さそうなので頷こうとしたが店先にあるベンチにバックが置き去りにされている。辺りを見渡しても持ち主は居なそうなので俺の空間魔法『インベントリ』で収納しておく……。

「お嬢、念の為に聖騎士団を呼んでおきましょう。何があるか分からないですし」


 お嬢に援軍の要請を出すように伝え、俺は指定のお店のドアを開けて中に入っていく。

 お店の中は落ち着いた雰囲気の品の良い喫茶店の様なお店だ。

「メルクさん、感じますか?」


 そういってメルクさんを見つめると彼女は頷いてカウンターの奥を見つめながら

「このお店の料理にはターメリックにコリアンダーそれにグローブといった様々なスパイスが使われているということはスパイス料理店ですかね?」


 この人たまにボケるからなぁー……。これはどっちだろう? 分かっていて場を和ますためにわざとボケを言ったのか? それとも本当に気づいてないのだろうか……。

「違いますよ。少し独特な匂いなんですけど、たぶんリラックス効果をもたらす香草の匂いなんですけど、用量を間違えると睡眠薬や睡眠ガスとして悪用も出来るので……? ってことはこの状況マズいのでは?」


 そんなことをメルクさんに伝えると同時にカウンターの奥からバンダナで顔を隠した、ならず者が店主を背後から刺し、赤く染まったナイフを舌で舐めながらケタケタと笑いながら俺達とリンさん達を確認するかのように交互に見比べている。

「みぃーつけた………」


 

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