妓女島の別れさせ屋 〜愛を壊す少女が、愛を知ったら〜

ちくわ

第一章 艶楼島の別れさせ屋

第1話 プロローグ

「……なんであそこまで、あの女にも固執して、一生懸命だったのか。


考えたくない考えたくない考えたくないって、いつも言ってるのに。


ねえ、そろそろ自覚したら?」


玉砂利のずれが連なって、ついにはそのずれがシャオの足元まで到達して。


足元が、崩れていく心地がした。


「シャオシャオは、自分自身に向き合わないようにするために、“他人の問題を利用”しているだけだよ。


他人の問題に一生懸命になればなるほど、自分の問題からは、いくらでも目を逸らせるもんね?


あーあーあー……いいご身分、だね。」





──全ての物語は、“別れ”なしには、語れない。



「離縁、して来たよ。お前のために。これで一緒になれる。」


自己陶酔の強い、歯の浮くような台詞。

男の鼻息の荒さと、熱を孕みぎらついた視線に、シャオは思わず吹き出しそうになる。

この男、「己が離縁を選んだのだ」とでも思っているのだろう。

選ばされた現在いまに気が付かないなど、なんて愚かな人間なのだろうか。


(──任務完了、だな。)



妓女ぎじょの島、縁楼島えんろうとうには、縁を断つことを生業なりわいとする「別れさせ屋」がいる。


女の名は、“シャオ”。

恋でも愛でも、不要な縁を断つのが、小の仕事だ。


今宵も、高官たちが秘密を抱えてやってくる。

──暴かれるのは、誰の「本音」か。


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