第7話 ロームの死と現在のロン

 「お、終わった…」

 「は、はははは!」

 覚悟を決めていたロンをよそに、魔物は声高らかに笑っていた。人間と同じ言語を話す魔物は、少なからずいる。ただし、人間から言葉を教えてもらわない限りの話である。

 「え、どういうこと?」

 「なかなかの娘よ。これならハイムの宝を手にする権利があるな!。ワシは、この洞窟の主であるが人間が嫌いなわけではない。ハイムとは、昔からの喧嘩友達よ」

 笑いながら淡々と話を続ける魔物はロンの目には、元居た世界のオジサン的存在にも見えた。

 「さぁ娘よ!持っていけ!ローム・ハイムの宝を!」

 魔物は、自分の背中に乗っている宝箱をロンに差し出した。人が二人ほどは入れるぐらいの大きさをしている宝箱をロンが開けるとその中には、一着のローブと一本の杖が入っていた。

 「その二つの道具は、ハイムの魔力が込められている。それを身に着けるだけで、一般人でも上級魔法使いに匹敵する。さあ戻ってやれ、あいつの生命力がもう尽きようとしている…」

 それを聞いたロンはハッとし急いで出口に向かって走り出した。

 ロンが家に戻った時には、もうロームの命の灯が消えようとしていた。

 ロンがすぐさま駆け寄り手を握ると、ロームは目をゆっくりと開け弱弱しい声で何かを呟いた。その言葉が何だったのかは、ロンしか覚えていない、誰も知らない。

 「先生…」

 

 その夜ロンは一晩中泣いた。翌朝になると、家の前には様々な木の実や鉱物が置かれていた。

 不思議そうにロンがあたりを見まわすと所々に魔物がいた。友好的な魔物だけでなく、普段は好戦的だが体には回復の跡が残っている魔物がこっちを見ていた。この魔物たちがローム・ハイムによって助けられたものであったことは、なんとなくロンはわかっていた。


  それから数日後、ローム・ハイムの墓に花を供えているロンに一人の男が近寄ってきた。

 「マージア・ムーズ中央部特別司令官特別魔法協会のアン・ジロイドだ。ローム・ハイムが死んだと聞いた。お前が弟子だな俺についてきてもらおう…」

  「ここから後は私が国に入ってからの話だね。あぁ、国家魔法協会昔は特別魔法協会と呼んでいたんだ。まぁ、あの森に行けば感じることができるだろう。あの森には、先生の魔力が土地にもしみ込んでいるからね」

 話を聞いたウィンは、ロンの強さの秘訣や今から自分たちがどんなことをするのかを考えることをやめようと思った。

 『この世界でまともな考えをしようとしても無駄なのか』

 「まぁいいさ、森でジャガイモでも育てようかね」

ロンの言葉に、ウィンは緊張が解けた。そして、自分だけが前世の世界のことを知っているという孤独から解放されたのである。

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