召喚で自爆させられ、また転移!? ~頭文字の男~

スフィーダ

プロローグ

十年前から世界各地で人体消失事件が起こった。


あるものは腕のみ。

あるものは下半身。

あるものは肩から上部。

あるものは地面からの怪光で股下から頭まで貫かれ、その部分が消失している。


その時々で消失部位は異なっている。

一部が消失した場合、失血死やショック症状で亡くなってしまう場合もある。処置が間に合い、生き残った場合もある。


その人物や目撃者達は次のように話している。

「突然、白い光に包まれて消えてしまった」

「足元から白い光線?のようなもので、近くに歩いていた人が貫かれていた」

「隣で寝ていた彼氏が呻いたので、起きて見てみたら両足がなくなっていた」

「散歩していたペットが急に消えてしまった」


光は、最初こそ野球ボールくらいの白い円筒形が発生したらしいのだが、現在では五メートル程度の円筒形になっているとも聞く。


人体の一部ではなく人体そのものも消えてしまう。

それらは、行方不明者の一人として認識されているだけである。


また、白い光の範囲にあるものは家屋でも動物でも関係なく、範囲内のものは消失してしまう。


TVや各マスメディア、動画配信サイトやSNSでは連日のように

『宇宙人の人体実験ではないか?』

『新興宗教の生贄になったのでは?』

『現在に蘇った切り裂きジャックか、その末裔ではないか?』

『某国の実験であろう』

『某国の生物兵器の類ではないか』

『太陽フレアが人体に影響を及ぼしているのだろう』

『世紀末の神々の試練である』

などなど。


この現象は詐欺師やインチキ霊媒師にとっては金儲けの手段として、これを『神の奇跡』『神の天罰』と称し新興宗教も雨後のタケノコのように世界中に立ち上げられており、信者も増加していると聞く。


各国の警察や科学者達も何ら手掛かりもなく、光の発生する頻度や場所も一切特定する事ができず、忸怩じくじたる気持ちであった。

近年はアジアがターゲットになっているようだとしか解明されていなかった。

なぜなら世界でアジア諸国だけが事件に遭遇していなかったと言うのが理由らしいが、その根拠は乏しい。

この世界各地で巻き起こった謎の現象は増加の一途を辿っていった。




今年になり初めて日本で消失事件が起こった。

当時40代男性が運転中に頭部から腰にかけて消失した。

当然、即死であり制御できない車は縁石にぶつかりながら停車した。

助手席の女性も軽傷ですんだおかげで当時の様子を知ることとなった。

但し、女性は非常にショック状態で聞き出すのには時間がかかったようである。

亡くなった男性には申し訳ないのだが、他を巻き込んでの大惨事を避けれたのが幸いであった。


日本での2件目の消失事件は、とあるタワーマンションのエントランスから屋上まで何かで切り抜いたような穴が開いてしまった。

この件は建物だけの被害ではあったのだが、資産価値は一機に下がり『ザマァ』と思ったものもいるとかいないとか……


同様の事象が日本各地で起こり始め、いつ自分が被害にあうのかと日々恐れながら生活を送っている。

動画配信サイトでも都市伝説系のチャンネルが増加し、面白可笑しく配信する不謹慎な者も増えつつある。

この不可解の事件は一向に収束の予兆すら感じなかった。



俺は、先日まで単なるニュースとして見聞きしていたのだが、身近であんな事件が起こるとは思いも知らなかった……

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