転生したら親はSSR、妹はチート級、俺は平凡──努力と恋の学園生活リスタート!

紡識かなめ

第1話 兄妹、最強の両親の元に生まれる

目を開けた瞬間、白い天井が目に入った。


そしてすぐに、すべてを思い出した。


(……俺、死んだんだっけ)


頭は驚くほどクリアだった。

前世の記憶も、感情も、全部そのまま。


つまり──転生だ。

しかも、意識アリで。


 


「かなと〜、起きたのねっ」


横を見ると、隣のベッドに座る若い女性が、心底うれしそうに微笑んでいた。


長い黒髪に、奇跡みたいな美貌。

この人が──母親?


一瞬で理解した。

転生先、チートな美人ママ付き。


いや、待て。


ここ、日本じゃねぇか?


 


慌てて部屋を見回す。

医療機器、ベビーベッド、窓の外に見える平凡な街並み。

ファンタジー要素、ゼロ。


(……マジかよ)


転生といえば、剣と魔法のファンタジー世界だろ!

異世界チート無双、人生イージーモード、そういう展開じゃないのかよ!!


だが、どこをどう見ても、普通の日本だった。


しかも、ステータス画面も、スキルも、謎の声も──何もない。


(あっ、これ、普通に努力しなきゃいけないやつだ)


落胆しながら、俺は静かに現実を受け入れた。


 



 


それから数年。

俺、天城奏人(あまぎ かなと)は、順調に成長していった。


──で、成長して気づいた。


この家、すげぇ。


 


父親、天城 蓮(あまぎ れん)。

元オリンピック三連覇の短距離走者。伝説級。


母親、天城 美咲(あまぎ みさき)。

元・国民的アイドルグループのセンター。奇跡の美貌を持つ伝説級。


──親ガチャ、SSR確定演出。


 


小学校の授業参観では、父兄席に"父親"たちが大集合。


普段、滅多に学校に来ないような厳つい親父たちが、我先にと教室に詰めかけてきた。


目的?

俺たちの勉強を見るため? 違う違う。

教室の後ろに立ってる、奇跡の美貌ママ──つまり、母・美咲を一目見ようと群がってきたのだ。


(うちの親、バケモンかよ)


と、内心思いながら、俺は微妙な居心地の悪さに身を縮めた。


ただし。


天城家の奇跡は、両親だけじゃなかった。


──妹・紗良(さら)。


双子の妹。

俺と同い年で、顔もスタイルも、何もかもが完璧な少女だった。


勉強も運動も、最初から天才的。

小学生にして地域のスター。


俺?


「そこそこ優秀」「まぁ、悪くない」「普通にいい子だよね」


そんな微妙なポジションに収まった。


(……何だよ、この差)


劣等感? あるに決まってる。


だって、隣を歩けば自然に比較されるんだ。

しかも、勝ち目ゼロで。


 



 


──そして、中学入学。


俺たちは、家から少し離れた私立中学校に進学した。


理由はシンプル。

両親の素性があまり知られていないから。


地元の有名人の子供として扱われるのは、さすがに面倒だった。

同じ小学校から来たのは、ほんの数人だけ。


これなら、新しい環境で、フラットにやれる……はず。


ピカピカの制服を着て、桜並木の下を歩く。


(よし……ここからだ。今度こそ、本気で生きる)


そう、心に誓った。


もちろん、俺が転生者だなんて、誰も気づいていない。


妹の紗良だって、俺と同じ"普通の双子"だと思ってる──はずだった。


──家に帰るまでは。

 





入学式を無事に終え、クタクタになりながら帰宅した俺は、制服を脱ぎ、リビングに突っ伏した。


(ふー……やっぱ新生活って疲れるな)


しみじみしていると──


「ねぇ、奏人」


ソファに座っていた紗良が、いきなり声をかけてきた。

そして、信じられないことを口にした。


「転生してるでしょ? 知ってたよ」


「──は?」


脳がフリーズする音が聞こえた。


今、何て言った?

転生? 知ってた??


訳が分からず、俺は間抜けな顔で紗良を見た。


妹はにこにこしながら続ける。


「だって、赤ちゃんの頃からバレバレだったもん。

目つきは妙に達観してるし、泣き方も変だし、ミルク飲むときもやたら冷静だったし」


「いや、そんなのでわかるわけ──」


「あと、寝言で『積んだ……』とか言ってたよ?」


「……っ!!」


思い当たる節がありすぎて、ぐうの音も出なかった。


「……もしかして、紗良も?」


声を絞り出すように問うと、紗良は得意げに胸を張った。


「うん。私も、転生者。

前世は、会社で中間管理職やってたおっさんだ!」


「マジかよ!!」


今度は本当に叫んだ。


転生してたの、俺だけじゃなかったのか。

しかも、こんな身近に──双子の妹として──いたなんて。


信じられない。

けど、紗良の笑顔を見ていると、不思議と納得できてしまう。


あいつ、昔からどこか大人びてた。

子どもらしい無邪気さの奥に、別の何かを感じていた。


そうか、そういうことだったのか──!


「じゃあ、俺たち……」


言葉に詰まる俺に、紗良はやさしく微笑んだ。


「うん。二度目の人生だよ。

──だから、ちゃんと生きようね、奏人」


静かな、でも決定的な言葉だった。


胸の奥が、じわっと熱くなる。


前世でできなかったこと。

叶えられなかった夢。

守れなかったもの。


全部、今度こそ。


「……ああ」


強くうなずいた俺は、まだ見ぬ未来に向かって、拳を握りしめた。


──天城奏人、13歳。

普通よりちょっとだけ不器用な転生者。


──天城紗良、13歳。

天才肌のチート級転生者。


この最強(?)兄妹の、新しい学園生活が、いま動き出す!

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