第97話 どうせやるなら盛大に

「アルヘナ〜居るー?」


「スクロス様?どうされましたか?」


「ちょっと渡したいものあって」


「私にですか?」


「うーん、レクタングル家に?かな」


俺はセーナに書いてもらったポスターをアルヘナに渡した。


それを受け取ったアルヘナはセーナ同様に頭にハテナマークを浮かべた。


「お祭り...ですか。スクエア家にて行うのですね」


「そそ、暇だったら是非って伝えといて、多分面白いから」


「スクロス様がそう仰るなら、とても楽しみですね。お父様が行けなかったとしても、私だけでも参加しても宜しいですか?」


「うん、もちろん」


「ありがとうございます。それとエリザベス様はどうされていますか?」


「満喫されて、ずっと居るって言われた。どうにかしてくれない?」


「私のせいではありませんが...その、頑張ってください」


内心、レクタングル家の厄介事じゃないのか?とも思ったが、エリーがスクエア家がいいと言った以上、覆す事もできない。


アルヘナの教室を出た俺はその足で、学園の掲示板へ向かっていた。


「さてと、後はこれを貼って...ポラリスにも渡しておかないと」


どうせやるなら盛大に、という事で学園と三大公爵家も含めて大掛かりなお祭りだ。


一般向けと貴族向けを分けたのは簡単、一緒だと一般の方が萎縮してしまうし、入りづらいからだ。


「ポラリス様、スクロスです」


「スクロス君?珍しいな、是非入ってくれ」


「失礼します」


いつもの一室のはずだったが、そこには散乱した紙の束が床を埋めつくそうとしていた。


「これ、どうしたんですか?」


「君から教えられた電気について考えていたんだが、行き詰まっていてな。見本もないから、どうにも...」


「じゃあ、来月に行われるスクエア祭へどうぞ。それのヒントになるものがあると思いますよ」


「スクエア祭?」


俺はポラリスにポスターを渡すとポラリスは直ぐに食いついた。


「貴族向けに2日間、一般向けに2日間。なるほど、ただの祭りなら行く気もなかったが、スクロス君の開催なら行くしかないだろう」


「はい、是非ダイモンド公爵にもお伝え下さい。運が良ければ、その見本のヒントになるものも、手に入れれますから」


「なるほど、ならば家にある分の金貨を全て持っていこう」


「...上限金額金貨1枚と書いていますよ」


「なるほど...え?逆に金貨1枚だけでそれほどのものが貰える可能性があるのか?」


「まぁ、制作に銀貨1枚くらいしかかかっていないので、こちらからすれば大儲けですけどね」


「君と世間の価値観が合わなすぎるな」


「知識の為に自身の家名を捨てられる一族の嫡男に言われても、対して効きませんよ」


俺はポラリスからも参加の言質を取りつつ、その部屋を後にした。


教室に戻った俺が見たのは、昨日と変わらず...昨日からかなり変わった教室内の雰囲気。


セーナと俺の席はいつも通りなのだが、そのまわりには誰も座っておらず、教室の端に避難している。


「んー、涼しい」


「あ、スクロス様、代わってください」


「...ここで断っても意味無いか」


エリーに膝の上に座られているセーナは、どうにかこの場を切り抜けるべく、俺になすり付けてきた。


エリーはスクエア家から持ってきたクーラーの前に顔を持ってきて、風に当たっていた。


「あ、スクロス」


「ちょっとごめんね」


「ん」


エリーは特に抵抗する事もなく、俺膝へと場所を変えた。


このクーラーは小型の為、この広い教室を1つで涼しくする事はできない。


冷たい風が出る扇風機と言ったところだろう。


しかし、エリーはそれで大満足のようだった。


「スクロス、ありがとうね」


「ん?何が?」


「私のわがままに付き合ってくれてるでしょ?」


「自覚あるんだ」


「これでも王女だからね。真面目な時は真面目。それ以外はスクロスから見た、いつも通り」


「なるほど」


王族がいつまでもこの我儘王女という事ではなく、ちゃんと切り替えは出来ているらしい。


確かに、王族の悪口は1度たりとも聞いたことが無い。


言ったら不敬だとかじゃなく、不満の1つも出ていないのだ。


「まぁ、短い間ならゆっくりして行ってよ」


「え?ずっとだけど?」


「...お止め下さい」

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