第31話 回帰
「動画で確認した限り私より遅いし、技もない。頑丈だからちょっと時間は掛かるかもしれないけれど……。よほどのイレギュラーが起きない限り負ける相手じゃないからレタちゃんは安心して見ててね?」
……え?あれ?レタさっき死んだはずじゃ?
「……レタちゃん?」
雪花さんも生きてる!
「ううぅぅぅぅ!雪花さん!雪花さん!雪花さん!」
ほんものか確かめるために、レタは必死に雪花さんに抱きついた。
……大丈夫、ちゃんとあったかい。これは、本物だ。
>>突然のてぇてぇだがレタちゃんどうした?
>>なんで突然泣き出したん?
邪神>>え?は?何そのスキル。何がどうなってその能力になった?
>>邪神どうした?
邪神>>んー?なんとなくご同輩の魔力残滓がある気がしないでもないけど、でもアレ、
>>なんか、珍しく邪神が混乱しとる。応答せん
雪花さん抱きしめて、頭を撫でられながらレタ、ちょっと冷静になった。
羽が、戦乙女の羽がすごく熱い。
そして、レタは何もしてないのに魔力が減ってる。
でも、雪花さんの武器に付与魔法を使った分の魔力は減ってない。
……こんてぃにゅーしたから、巻き戻った?
レタの首が飛ばされて、意識が消えた直後に聞こえためっせーじから考えて多分、そうなんだと思う。
なんとなく理解できるのは、これがレタの武器であるこの輪っかによって起こされた出来事だということ。
抱きついて、雪花さんを思いっきり感じながらレタは考える。
こんてぃにゅーは多分、強い敵と戦ってレタが死ぬと起きる。これは、なんでかわからないけどわかってる。
そして、こんてぃにゅーする毎にその回数分の魔力が減った状態でせーぶした状態に戻って来る。
状況から考えて、せーぶは輪っかの蛇が目を光らせたところだと思う。
……なら、もし雪花さんがこの戦いで死んじゃってもレタが自分を殺せばここに戻ってこられる?
そこまで考えて、「違う」とレタは気がついた。
こんてぃにゅー前の戦いで雪花さんが死んだのはなんで?
レタをかばったからだ。
……道具であるレタをかばった時に、多分、避けるのに失敗してカマキリの攻撃に当たってしまって死んだ。
どうして、レタをかばう必要があったの?
……レタが使えなかったからだ。
じゃあ、どうすれば良い?
強くなれば、レタなら放っておいても壊れないって、死なないって思ってもらえるほど強くなれば良いんだ……。
どうやったら強くなれる……?強くなったって思ってもらえる?
雪花さんに抱きついたまま、そっと首を巡らせる。
視界に飛び込んでくるのは、あの怖いカマキリ……。
「……アレを一人で殺せたら、強いって思ってもらえるかな」
思わず口からもれたつぶやきに、雪花さんが身体を固くするのがわかる。
>>レタちゃん今なんかぼそっと言ったけど何言ったの?
邪神>>うわ、そういう考に行き着いちゃうのか……
>>なんか、雪花姉さんギョッとしてるけど?
邪神>>いや、レタちゃんあのカマキリとタイマンするって……
>>は!?
>>いや、死ぬぞ!?
「レ、レタちゃ……」
「
魔法を使って、雪花さんの両足を氷の中に閉じ込める。
……ブーツの上からだから、そんなに冷たくは無いと思う。
それ以前に、多分、レタまだそんなに長く戦えないと思うから……。
「なっ!?急にどうしたの!?ねえ、レタちゃん!?戻ってきて!!!
魔力強化全開でカマキリの方へと早足で進む。
さっきの、レタが死ぬまでの雪花さんの戦闘を思い出してみれば……。
攻撃は見えてたし、雪花さんの力で弾ける攻撃ならレタでも弾けるはずだし……。
多分、何も出来ずにただただ殺されるだけにはならないと思う。
……死ぬのはちょっと怖いけど、シミュレーターの中での死なら何度も何度も体験したし、大丈夫。
雪花さんが死んだのを見るのに比べたら、怖くもなんとも無い。
「雪花さん見てて?レタ、使える道具になるから」
「待って!レタちゃんやめて!止まって!」
1回目は、たった4合の打ち合いでレタの首が飛んだ。
2回目は、輪っかに鎌を引っ掛けられて引っ張られながら縦に真っ二つにされた。
3回目は、尻尾を切り落とされてバランスを崩して左右から切り裂かれた。
4回目は……。
10回目ともなると、もう雪花さんに抱きついて凍らせてカマキリに向かって走るまでが何も考えずに出来るようになってて……。
4本腕による攻撃にもだんだん慣れてきて、もう、そう簡単には死ななくなった。
だって、何処かが斬り落とされない限りレタは再生できるんだから。
死ぬ攻撃だけなんとかすれば、戦い続けることは出来る。
>>レタちゃん何やってんの!?ねえ、何やってんの!?
>>なんで急に一人で突っ込んだ!?
>>……いやでも、なんかちゃんと戦いになってない?
>>攻撃の受け流しがめちゃめちゃ上手くなってる。なんで?
邪神>>ああ!わかった、スクルド嬢だ!
>>邪神、これ何いってんの?
>>マジでわからん、何のことを言ってるのかもわからん
結局、10回目は脇から入った鎌が右腕の腱を傷つけて、輪っかが持ち上げられなくなった瞬間を狙って振るわれた左の鎌がレタの頭を貫いて終わった。
『コンティニューしますか?』
うん、大丈夫、戻ってきた時の減る量から考えて、まだあと10回ぐらいは死ねる。
でも、すごいね。
必死の戦いって、こんなに本気になるんだ……。こんなに勉強になるんだ……。
殺気から行動を読んで、攻撃を受け流しながら次の攻撃に繋げる。
レタ、これまでの10回の
動きも見えてきたし、レタ自身の輪っかの使い方も上手くなってきた。
これなら、あと2~3回挑戦すればこのカマキリを倒せるようになると思う。
15回目、レタはついにカマキリの腕を3本斬り落として優位にたった。
わかってしまえば簡単で、レタの速度なら振り抜かれた鎌の刃が無い側を掴めるんだから、それを含めて戦術を考えればすぐだった。
……でも、レタ、まだこのカマキリから色々学ぶことが出来ると思う。
だから……。
4本目の鎌を斬り落として、レタの勝ちが確定した瞬間。
輪っかの刃を自分の首に当てて思い切り回す。
『コンティニューしますか?』
『コンティニューしますか?』
『コンティニューしますか?』
『コンティニューしますか?』
邪神>>いや、さすがにそれはボクでもドン引きする行為なんだけど……。ええ?レタちゃんめちゃめちゃ闇深くない?いや、わかってたことではあるんだけどー!
>>いや、邪神どうした?
>>雪花さんに抱きついてるレタちゃんドン引きとか何いってんのこいつ?
>>ってうわ!なんで雪花さんの足元凍らせた!?
レタもだいぶ魔力が減ってきて、あと2~3回しかこんてぃにゅー出来ないぐらいになってきた。
そろそろ、カマキリも普通に倒せるようになってきたし、訓練は終わりでいいと思う。
振り下ろされる右側2本の鎌を輪っかごと回転しながら受け流し、左側2本が振るわれるタイミングで尻尾を地面に叩きつけて体勢を整える。
後はそのまま、振り下ろされた左の鎌の背を蹴って跳び、両手が振り下ろされて無防備なカマキリの喉に輪っかを押し付けて……。
この体勢なら、カマキリが何をやってもレタの輪っかを回転させるか押し付けることにしかならないし、そうすると自分の首が飛ぶ。
>>もんのすげぇ鮮やかなカマキリ瞬殺で驚愕してるんだが?
>>ストゼロ飲みながら雪花姉さん無双を鑑賞しようと思ってたらカシュっとやった時点で戦闘が終わってしまった……。というか、なんでレタちゃんが戦ってるのん?
>>いや、昼間っからストゼロ飲んでんじゃねぇよ!
邪神>>ふむ、この周で終わりかな?よし、今のうちに雪花ちゃんに告げ口しとこ。せんせー、レタちゃんが無茶やってまーすって。
>>いや、だから邪神は何を言ってるんだ?
案の定、下から振り上げられる鎌を輪っかを回して受け流す。
そして、受け流した時に加速した輪っかに頭を斬り飛ばされて動きを止めるカマキリ。
やった、完全勝利。
ねえ、雪花さん、レタ強くなったよ?これで使える道具になれたよね!
「雪花さん、倒したよ!」
喜んで振り向いたレタの眼に映ったのは。
「そう……、じゃ、まず正座しましょうか」
ゆっくりと歩いてくる、笑顔なのにカマキリの数百倍怖い雪花さんだった。
☆★☆★☆★☆
実は邪神、武器の能力の詳細を知りません。
本人の性質とか色々混ざり合って完成するものなのと、調べないほうが発動した時楽しめるので。
あと、ループは感知してます。神なので。
そして無茶に無茶を重ねるレタちゃん。
シリアス「ふっ、オレの役目はここまでだぜ……」
なお、この作者の味方側名前あり人物はほぼ死にません。
安心してお読み下しあ。
次回「すーぱーお説教タイム」
更新予定は9月24日20時の予定です。
よろしくお願いします。
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