第20章: ルーマニアの影
ペルーでの戦いから一週間後、悠真と玲奈はルーマニアの黒曜石採掘場に到着した。東欧の山岳地帯に広がる鉱山は、霧崎やペルーの坑道よりも古く、まるで中世の遺跡のようだった。現地のガイドは、鉱山が「悪魔の穴」と呼ばれ、近隣の村人が近づかないと警告した。
悠真は「黒曜の秘儀」を手に、鉱山の入り口を調べた。壁には、霧崎と同じ螺旋模様が刻まれていたが、より複雑で、まるで生きているように見えた。玲奈が囁いた。「悠真、ここが黒崎の最後の拠点だ。慎重にいこう。」彼女の銃は、ペルーでの戦いで弾が減っていた。
坑道の奥へ進むと、空気が重くなり、黒曜石の壁が微かに震えていた。悠真は美咲の声を聞いた。「悠真……ここは、迷宮の心臓……気をつけて……。」彼女の声は、まるで近くにいるようだった。玲奈が尋ねた。「悠真、聞こえた? 美咲の声?」悠真は頷き、短剣を握りしめた。「彼女はまだ戦ってる。俺たちも、負けられない。」
坑道の終点は、巨大な円形の部屋だった。中央には、黒曜石の柱が螺旋状に並び、中心に血の黒曜石でできた祭壇があった。祭壇の上には、黒崎の手帳と同じ筆跡のメモ。「第三の門、時間の終焉。」悠真の胸が締め付けられた。黒崎は、時間を完全に支配しようとしている。
突然、部屋の奥から黒崎が現れた。彼の身体は半透明で、まるで幽霊のようだった。「佐倉君、霧島君、君たちは本当にしつこい。だが、ここで終わりだ。」彼の手には、血の黒曜石の杖があった。杖が光ると、黒曜石の柱が共鳴し、部屋が揺れた。
玲奈が銃を撃ったが、弾は黒崎をすり抜けた。「またか!」彼女が叫ぶ中、黒崎は杖を振り、黒曜石の欠片が嵐のように襲いかかってきた。悠真は短剣で欠片を弾き、祭壇に突進した。「玲奈、柱を壊せ! 祭壇の力を弱めるんだ!」
玲奈は柱に銃を撃ち、ひびを入れた。だが、黒崎が杖を振り、玲奈を吹き飛ばした。「霧島君、君の父と同じ運命だ。」玲奈は壁に叩きつけられ、動かなくなった。悠真は叫んだ。「玲奈!」だが、黒崎が近づき、杖を突きつけた。「佐倉君、君の血で、第三の門が開く。」
その瞬間、美咲の声が響いた。「悠真……私の力を……。」悠真の短剣が光り、黒崎の杖を弾き飛ばした。黒崎が驚く中、悠真は祭壇に短剣を突き刺した。祭壇が爆発的な光を放ち、黒崎の身体が歪んだ。「不可能だ! 迷宮は私を裏切らない!」
部屋が崩れ始め、黒曜石の柱が倒れた。悠真は玲奈を抱え、出口へ走った。背後で、黒崎の叫び声が響いた。「佐倉君、君は逃げられない! 迷宮は永遠だ!」坑道が崩壊し、第三の門は封じられた。
外に出ると、ルーマニアの夜が広がっていた。
玲奈は意識を取り戻し、弱々しく言った。「悠真……黒崎は、まだ……?」悠真は首を振った。「奴の身体は消えた。でも、迷宮の力は残ってる。美咲が、俺たちを導いてる。」
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