第20話
「もうすぐだな」
俺は蠅王を駆逐した後、今出せる最速で現場へ向かっていた。さっき上がったレベル分のSPを振ろうかと思ったけど、流石にそんな悠長なことをしている場合ではないし、流石に500万もステータスがあれば足りないことは無いだろうと考えてやめておいた。
何より、さっきの光景がまだ頭から離れない。職業柄、こうことには慣れておくことに越したことはないのだが、俺はしばらくは無理そうだ。
「どうか、手遅れにだけはならないでくれッ...!」
もう、さっきの光景は見たくない。その一心で走り、ついに現場に到着した。しかし、そこで最初に見えたのは...
「増援、到着しま...!」
夥しい死体の数。そして、今まさに目の前で膝をついた人物に凶刃を振り下ろさんとする猪のような姿をしたモンスターがいた。
「あああああッ!!!」
このままじゃあの人は死んでしまう。だが、ここからじゃ間に合わない。どうする、どうすればいい!
...またここで魔法を作れ。幸いステータスのお陰で思考速度、認識、処理速度がおかしいくらいになっている。
とはいえ、同じくらいの速度で動けるかと言われると、そうではない。全ステータス同じくらいの値のはずなんだけどなぁ...
だが、動きがとまって見えるとか、そういう訳ではない。現に今も少しずつ猪...あの姿形はベヒモスか?
...ベヒモス!?なんでそんな化け物がここにいんの!?いやまぁ異常があるとは聞いてたけどさ、限度ってものがあるでしょ限度ってものが。ああもう!考えてる時間はもうない!なにか、何かいいアイデアは...
俺の〈永劫〉(エターナル)には致命的な欠点がある。それは威力が固定なことだ。
間反対の性質にある属性同士を強引に混ぜた弊害か、一定の比率から少しでも動かすと発動してくれないのだ。
とにかく、そういうわけで〈永劫〉は適さない。
何か速いもの...雷!そうだ雷がある!雷ならば比較的想像しやすいし、何よりほぼ光速という速度がある。
ぶっつけ本番だけど、やるしかない!
名前は...ああ、もう!そんなこと考えてる時間はない!
「〈雷閃〉!」
「グガ!?」
バヂィッ!
「!?」
辺りに静電気が起き際の音を、超特大したかのような音が響き、ベヒモスの攻撃をキャンセルさせた。
間に合った!!本当にギリギリだった!!とりあえずは安心...
「ゴッ」
メキッ
ッ...!?今度はなんだ!?吹き飛ばされた!?何に?!ベヒモスだこんちくしょう!
「ブゴォオオ!」
「っ!まずい!」
咄嗟に腕をクロスさせて防御の構えを取ると...
「ぶへっ」
見事に予想が外れ俺のお腹へと蹄が突き刺さった。
だってしょうがないじゃん!こんな奴を相手取ったことなんてないし、そもそも戦闘もまだまだ素人と変わらないレベルだからな!?俺!
「っ、くそ!だがもう次は」
「ブモッ」
「きかねぇ!」
だが俺には最強クラスのスキル群がある。戦闘系のスキルが総動員し、体が、感覚が、戦闘向きへとチューニングされてゆく。
飛んできた蹄を即座に抜いた〈N-28〉で受け流した。
が。
バキィィィン...!
「は?」
甲高い音を立てて〈N-28〉は粉々に砕け散った。幸い、攻撃自体はいなせたが、ベヒモスはもう既に次の攻撃の準備を始めている。
しかしこちらは防御手段の剣を失い、体制を崩してしまっている。今の状態で攻撃を受ければ、少なくとも骨の一本は持っていかれるだろう。
このままではまずい、そう考えた俺は咄嗟に手元に氷でできた剣を生成。そして、ベヒモスの攻撃を受け止める。
「フッ!」
ガキン!
「フガァァ!」
ジリジリ
「ぐぅぅぅぅぅ!」
重い!こいつ、攻撃の仕方が上手い!全体重が乗るように体の位置を調整して攻撃してきてやがる!そのせいでとにかく重い!
腕にも血管が浮き上がり、その威力を物語っていた。ステ500万。この氷は特別な方法で生成していて、水をとにかく圧縮しまるくることで、へたな金属の刀身よりも固い氷の剣を形成しているのだ。
勿論、そんなことをすれば質量は馬鹿にできないほどに増大し、現段階で質量は約2000ℓ、つまり2tだ。そして今も圧縮を続けて質量は増えている。一気に増やすと、制御ミスった時が怖いんで...そんな問題を〈矛盾魔法〉によって"重い"を"軽い"に変えている。更にそこに〈万能魔法〉を使って持ち主には軽く、それ以外には本来の質量×10倍の質量が加わるようにした。これ以上は倍率は上がらなかった。
十分すぎる値ではあるけど。そんなことよりも〈万能魔法〉が本当に万能すぎる。
こういう系の魔法って器用貧乏なのがテンプレじゃないの??
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