第一章 運命の出会い 第四節 花火
ありすが複数の骸骨に囲まれた瞬間、突然、爆発音が響き渡った。彼女は反射的に天井を見上げ、目の前で大きな花火が夜空に咲くのを目にした。赤や青の光が広がり、空を染めていく。だが、それは敵の攻撃による爆発ではなく、華やかな花火だった。
「何が…起きているの?」ありすは混乱しながらも、目の前で広がる光景に圧倒されていた。
煙が晴れると、花火を打ち上げていた数人の人影が見えた。一人は巨大な大砲を持ち、次々と花火を発射していた。骸骨たちはその派手な光と音に驚き、混乱していた。もう一人は空を飛ぶ箒に乗った少女で、仲間たちに的確な指示を出している。
「チョコ!早くしなさい!あんたが助けたいって言ったんだから!」箒に乗った少女――タルトの声が響く。
「わかってるよ!」と答えた声が煙の中から聞こえた。
その瞬間、フィーネが空から現れ、ありすの目の前に着地した。彼女は骸骨たちに素早く反撃し、まるで忍者のように杖を振り回して次々と敵を粉砕していった。ありすの心臓は激しく鼓動し、驚きと興奮が入り混じる。
「フィーネ!」ありすは叫んだ。
赤い瞳を持つ骸骨が怒りに震えながら叫んだ。「ものども静まれ!この小娘を殺せ!」そして、大剣を抜き、ありすに向かって切りかかろうとする。
しかしフィーネは、その剣を巧みにかわし、強烈な一撃を放った。「チッ、まだ足りないか…」と彼女は呟く。
その瞬間、大砲を持っていたクルミが赤い瞳の骸骨に狙いを定め、強烈な砲撃を放った。爆発音と共に骸骨は吹き飛ばされ、もがき苦しんだ。クルミは「今日はいい感じに調子が良いみたい」と言ったが、その直後、骸骨に足を掴まれて地面に叩きつけられた。
「きゃっ!」
すかさずタルトが杖を振りかざし、燃え盛る炎で骸骨を一瞬にして焼き尽くした。「クルミ、あなたはいつも油断しすぎ!」とタルトは呆れながら叫んだ。
クルミは顔をしかめながら立ち上がり、「わかってるわよ、タルト!」と決意を込めて再び大砲を構えた。彼女は赤い瞳の骸骨に再度狙いを定め、最後の砲撃を放った。
その瞬間、フィーネも空高く飛び上がり、杖を掲げた。杖は虹色の光に包まれ、その光はまるで彗星のように闇を切り裂いていく。
「これで終わりだよ!」フィーネは力強く叫び、杖を振り下ろした。
巨大なエネルギーの一撃が放たれ、光がドラゴンを包み込んだ。轟音と共に大地が震え、ドラゴンは悲鳴を上げながら朽ち果てていく。その体からは魔力の灰が立ち上がり、鱗がボロボロと崩れ落ちていった。
光が消えた時、ドラゴンの姿はもうそこにはなく、残されたのは静かな夜の空だけだった。仲間たちは互いに顔を見合わせ、勝利の余韻に浸っていた。
ありすはその光景を目の前にしながら、胸の中に広がる安堵感を感じた。壮大な戦いが終わり、彼女の冒険は新たな段階へと進んでいくのだ。
挿絵はこちら→https://www.pixiv.net/artworks/129426038
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