童貞貞操記~転生したら抜きゲーメインヒロインになっていたけど心は男だ~

ましろ

第1話 童貞、メインヒロインに転生したらまずすること

 六畳一間のアパート、挫折してトラウマありの一人暮らし無職童貞の俺は、親の遺産で怠惰な生活をすること二十年気が付くとアラフォーになり、結婚、社会復帰は絶望的であった。


「……ああ、カフェラたそ……カフェラたそ……」


そんな俺は、昼夜問わず息子を擦るブラック精子工場長として役割を全うしていた。


「う、い、逝く……う……そだろ……」


そして、俺は、胸に痛みを感じ意識を失ってしまいそうになる。ああ、俺死ぬんだ。……どうせ死ぬなら……モテたかった。

そして俺は意識を失った。


「……ラ様。……カフェラ様!」


 聞いていて癒されるソプラノボイスが、誰かを呼んでいる。

俺の家は、防音が全くされていない家だったけど、ここまで声がすることなんて。


「カフェラ様! ごめんなさい私のせいで!」


違う! 俺の体が揺すられている。慌てて俺は起き上がると、そこには、銀髪の髪を肩まで伸ばした巨乳メイドが俺の体を揺すっていた。


「……ぎゃあ! すみ、すみません!」


なにこれ! 起きたら銀髪メイドさんと朝チュン! 俺の四十年付き合った童貞よさらば……って違う! なんで俺謝っているの!

慌てた俺は、銀髪メイドを見ると、そのメイドさんは見たことのある顔であった。

しかし刹那、俺の視界は、メイドさんの乳に奪われるのであった。


「も、モスト……ふお!」

「カフェラ様! 良かったです! まさか、クラス降ろしの日に高熱で倒れるなんて! 私の体調管理が甘いせいでございます! 何なりと罰をお与えくださいませ」

「ふがが! も、モストやめて! 苦しい!」

「すみません! カフェラ様!」


モストが離れてくれ視界が戻る。

あれおかしい、これは俺が死ぬ前やっていたエッチなゲーム『聖エチエチル学園の情事』ヒロインの一人モスト・スパンキングにそっくりすぎる。

しかも俺の声もやけに高いし、体もこんな小さく……。うん?

待って、冷静に考えろ。死んで目が覚めると知らない天井とメイドさんの乳。

これ転生してない?


「おれ……じゃなかった。私の名前は、カフェラ・エチエチル。間違えはないわね」

「そ、そうですが……カフェラ様がお、俺っ子に……ぐ、ぐへへ、こ、これは……オホン。失礼いたしました。カフェラ様、お加減はいかがでしょうか?」


やっぱりそうだ!

俺、転生している。しかもエッチなゲームのメインヒロイン。つまり幼女になっている!

オイオイまじかよ。最高か……さいこ……待て、意識は俺のままだぞ。

つまり、このままいくと俺は、主人公の王子様に……え、エッチなことをされて。


「きゃああああああ!」

「か、カフェラ様! いかがいたしました!」


まずい! まずい! まずい! 童貞卒業の前に処女を散らすって何! 色々やばいぞ!

と、とにかく状況整理だ!

まずは色々確認しないといけないので! モストには、少し出て行ってもらわなくてはいけないので、平静を装い俺は、カフェラを演じ切る。


「ごめん。モスト。今日は一人にして欲しいの。風邪はまだ直っていないから」

「か、かしこまりました」


モストは、慌ててしかし、礼儀を忘れずに部屋から出ていき、俺は一人になった。


「……さて、まず、することと言えば」


俺は、贅沢な一室、恐らくカフェラの部屋だろうがいそいそと小さい体を動かし姿見の前に立ち自分の姿を見る。金髪ロングに釣目に三白眼の碧目と八重歯が特徴的なロリっ子。

カフェラ・エチエチルの幼少期そのものだった。


「うわ……幼女カフェラたそ、そのままで草」


うん、俺は、完全にカフェラ・エチエチルの幼女になっていた。何歳だ。

ていうか、オッサンの俺が幼女に転生って。


「ごく……いいよな。じ、自分の体だし」


幼女に転生したらやることなんて一つだよな!

まずは、服を脱いで息子が、娘になっているかとか身体的な特徴の確認をしないといけないから脱ぐ。それだけだ。

決してやましいことなんてない。ただ脱ぐだけ。

俺は生唾を飲み込み、自分の来ていた寝巻に手をかける。

その時であった。


「おはようカフェラ。ようこそ私の世界に。転生早々、卑猥じゃなくて?」

「ぎゃ! 鏡が勝手に喋った!」


鏡に映るカフェラたそが俺に話しかけてきた。なにこれ、このゲームって、こんなほら展開あったけ? なにこれ?


「あら、私の体に転生してきたのは殿方だとは知っていましたが……うふふふ。可愛い反応ね。食べちゃいたい」

「え、えっとカフェラたそ? 待って、そしたら、俺って? え?」


意味が分からない。

転生まではよく見る展開だったけど、何で転生元の人格が俺に話してきて、しかもすでに転生バレしているの?

混乱する俺に鏡に映るカフェラたそが俺に話す。


「全く、混乱しているのね。私は、カフェラ・エチエチルの元人格。今は、鏡の妖精……そうね。今後はややこしいからエチルって呼んでくださいまし。そして貴方が今日からカフェラ。説明いたしますのでよろしいでしょうか?」

「あ、はい。承知いたしましたカフェ……エチルたそ」

「たそって……まあ異世界の愛称かしら。外面はもういいか、あなたが私の体に転生したのは偶然じゃない。私の起こした必然。端的に言うと私の暮らす魔法騎士であるお父様の特権、固有魔法の願いを一つ叶えてくれる魔法で、私はカフェラからエチル……鏡の妖精に転生したの」


エチルたそは、なんだか難しい話をしているが理解はできる。

エッチなゲーム『聖エチエチル学園の情事』神ゲーは、RPGとエッチなゲームが合わさっており、世界観もしっかりしており、徹底したクラスジョブとレベル管理もしっかりしている。

そしてカフェラの家は、魔法騎士の家系として願いを一つ叶えることができる。

元の剣スキルがさることながら、魔法剣士の固有魔法『願いを一つ叶える』は、チートだ。

本来のゲームでのカフェラは、魔法騎士になり精霊の魔法完全習得を願っているはず。


「待って、エチル。もしかして、固有魔法で鏡の妖精へ転生したけど、本来の自分の体に魂を入れないといけない的な制約があって俺が呼ばれたってことか!」

「そそ、理解が早くて助かるわ。ちなみに貴方が私に転生した」

「おお!」


つまり、チートということだな! チートジョブで敵をばたばた倒すんだな。


「転生時にクラス降ろしがリセットされたみたいでノージョブよ」

「ノージョブ?」

「ニート」

「それ、以前の俺だけど」

「今の貴女もニートよ」


そう、鑑定とかそう言った一件なんでもないスキルや魔法が最強という王道展開も……。


「ニート。無職。根無し草……転生してもニートかよ」


終わった。

またいろいろ面倒ごとに巻き込まれた気がして、俺はちょっと嫌気がさした。


「もうこの際ニートはどうでもいい、転生なんてしたエチル」

「うーん。その……私が転生した理由は……変だって言わない?」

「言わない」


エチルとはいえ、もとカフェラたそ。少し戸惑う推し。しかし推しの願いなら叶えるだけ!

さあ、重い設定でも何でも来い!


「私……女の子が好きなの!」

「へ?」


脳が理解を拒んだ。


「いや、その私、女性……つまり同性が好きでして。ですが、私には許嫁がいて、このままじゃ男に抱かれて処女を散らすことになるの! そんなの無理! なら、元々性別のない妖精になって女性の裸を見ようと思って! けど男の裸は無理!」


あ、これダメだ。だって、目がマジだもん。

……うん終わった。終わったよ。カフェラは、原作の頃から少し破天荒な所があったけど、かなり頭が良く欲望に忠実だ。

嘘はつかない。つまり、俺は、本当に彼女のわがままに付き合わされたわけであって。


「……終わった。何もかも」

「あら、始まったのよ? これからよろしくね。相棒さん。私の代わりに未来の旦那様との子作りよろしくね」

「絶対に俺は貞操を守ってやるんだあぁぁぁぁぁぁ」


こうして俺は、これからカフェラ・エチエチルとして、貞操を守っていく戦いが始まったのであった。

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