このファンタジーはキャラの心が生きている

 コメディのようなタイトルが目を引くこの一作。侮るなかれ、お気楽な気持ちで読むと一話で撃沈する事になる。そう、私のように。


 この物語はメインである魔法学校へ行く前の段階から始まる。
 メインキャラ4人という多めの構成のところ、登場人物一人一人がどうして魔法学校へ行く事となるのかをしっかり追ってくれるおかげで、読者もメインキャラたちと足並みをそろえて魔法学校へ臨むことができる。
 
 柔らかくコミカルな文体、話運び、可愛らしいキャラたちを取り囲む幻想的なファンタジー。絵本のような話かと思いきや、メインキャラを取り囲む大人の感情の運びがやたらとリアル。
 メインキャラである子供たちへの接し方で苦悩したり、時には失敗したり、その失敗を後悔し、改善して成長する。そして子供たちもまた、勇気を振り絞って苦難を乗り越えたり、友人や周りの大人と関わって変化していく。
 
 タイトルのお気楽さからは計り知れない”生きた心”がこの物語には確かにあり、ただの舞台装置ではないキャラが生きる姿に心打たれる。
 これから先の魔法学校編にも期待したい。


 ところでどうして『一話で撃沈する』のか。それは実際に読んで確かめて欲しい。