黎明のエヴォリス

uni

第1話

第一章:銀の少年と神殿都市



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 灰色の空の下、世界は静かに崩壊へと向かっていた。

 そこは、かつて神に祝福されし聖都せいとイゼルナ。

 今はもう、信仰の名残なごりだけが、ひび割れた石畳の上に残っている。


 少年の名はレイ。

 銀色の髪と琥珀のような瞳を持ち、この世界の異端者いたんしゃとして生きていた。


「この手が、何かを壊してしまう前に……」


 そうつぶやく声はかすれ、冷たい風にさらわれた。

 彼の内に宿るのは、進化の力──“エヴォリス”。


 だがその力は、同時に退化ももたらす。

 人が神に近づこうとした代償だいしょう

 それが、彼に選択を迫る。


 光を信じるか、闇を抱くか。

 救済か、破壊か。

 この世界の運命うんめいは、彼の手に託された。


 遠く、聖堂せいどうの鐘が鳴る。

 それは、始まりを告げる鐘──

 終わりではなく、「始まり」の音だった。

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