日本が産んだ天災 〜世界が震撼するまで〜

タケチン

第1章 伝説の始まり

第1話 高校入学

 人は何かしらの才能があると言われている。

 テニスだったりバスケだったり野球だったり、はたまた料理だったり絵画だったり。

 その中から自分の才能を探し当てるなど困難を極めるだろう。


 たが、もし強運によって探し当てることが出来たとしよう。それを努力もせず、「才能があるから〜」とサボっているとどうなる。考えなくともわかるだろう。

 せっかくの天才が、凡人に成り下がってしまうことは想像に難くない。


 そう、たとえ天才でもそれ相応の努力をしなければ才能が枯れてしまう。


 だからこそ、"努力する天才"こそが世界で頂点に君臨することが許される器では無いだろうか。





 これは海外の名門クラブの下部組織で活躍していた"隠れた天災"が世界に轟き、人々を震撼させる努力する天才の物語である。






 ◇



 季節は春。

 今日は俺、谷山優斗がこれから3年間通うことになるであろう高校、旭ヶ丘高校の入学式だ。


「ふぁああぁあ〜、ねみぃ」


「やっばぁーい、遅刻遅刻〜、入学式に遅刻だぁぁ」


 俺が欠伸をしながら重たい足を懸命に前に突き出しながら歩いていると、後ろから慌ただしい声を出しながらこちらに向かって来ている男がいた。

 その男の身長は168cmくらいで綺麗な目を持っており、髪の毛は少し目にかかっているくらいのセンターパートでなかなか整った顔立ちをしていた。


 俺が振り向くと、その男が来ている服が俺の目に入った。


「あれ?その服ってもしかして俺と同じ旭ヶ丘高校の制服か?」

「え?もしかして君も?」

「ああ、そうだが」

「良かった〜、遅刻仲間がいたー」

「なんとなく、その仲間にはなりたくないんだ

けど」


 なんか勝手に変な仲間に入れられたんだが……。


「まあまあ、細かいことは気にするなって〜、そんなことより俺は八神優雅、お前は?」

「ああ、俺は谷山悠斗だ。よろしくな」

「ああ、よろしくな〜。ところで、君なんの部活に入るのかって決まってる?」

「ああ、一応サッカー部に入るつもりだよ」

「おお、奇遇だなぁ、俺もサッカー部に入るつもりなんだ」


 とまあ軽い雑談をしながら2人で学校に登校した。


ちなみに雑談に夢中で大事な入学式に2人して遅刻してしまったのは許して欲しい。先生達ごめんなさい。



 話の長い校長先生の話を聞き流しながら、入学式を終えると、その日はもう何もすることがなかったらしく解散となった。

 これから何をするって言うこともなかったので、俺は1人で帰ろうとすると、


「悠斗ーー、なんか今日サッカー部で仮入部やってるらしいから一緒に行かね〜?」

「そうなのか?じゃあ俺も気になってたし、行こうかな」

「よっしゃ、そう来なくっちゃ」


 優雅からサッカー部の仮入部に誘われたので断る理由もなかったから行くことにした。








 旭ヶ丘高校


 高校自ら文武両道を掲げており、それは自意識過剰でもなんでもなく、文武両道の名の通り、どちらにも優れている。


 学問では毎年何人もの難関国公立合格者を排出し、武道では毎年野球は甲子園に出場したり、他の部活でも全国など、文武両道にふさわしい記録を残している。


 ただ、ひとつの部活を除いて。

 それがサッカー部だ。サッカー部は毎年県大会中堅レベル。決して、弱い訳では無いが、どうしても全国出場には手が届かない。





 そんな毎年悔しい思いをしている旭ヶ丘高校サッカー部に今年、日本が産んだ天災 八神優雅が入部しようとしていた。


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