第41話 じきにフラれる

木曜日、出勤と同時に受付の天使…武蔵新田さんに


「昨日はわざわざ8階までありがとうございました。助かりました。」


と最低限のお礼を口にした。

彼女は眩しい笑顔を見せてくれた。

さすが受付嬢だなあと感心した。

めちゃくちゃ可愛いが、美桜が妬くと大変なのですぐにその場をあとにした。


美桜が実は可愛い子だと知る前だったら、落ちていたのかもしれない。

だけど今の俺の頭の中は美桜でいっぱいだし、あの時の俺の疑問は杞憂で終わった。

性格がいい子が現れても、美桜が一番のままだった。


だが昼休憩の時、社内の食堂で、武蔵新田さんと遭遇してしまった。


「鵜木さん、お疲れ様です。」


「あ、お疲れ様です。」


こういう場合、どうしたらいいんだろうな。

変に避けるのも、別に告白されたわけでもないのに自意識過剰な気がするし…


と考えてしまったせいで蒲田主任が現れた。


「おい!鵜木、8階まで階段で追いかけてくれた武蔵新田さんに、なんのお礼もしてないのか!?仕方ない…俺が代わりに昼食出させてください。こいつの上司なので」


なんか良いように使われたな!?

でも正直助かった。

美桜に関わるなと言われていたし、蒲田主任に″部下として″甘えよう。


「えっいえ…私はお弁当なので、今はサラダだけ買おうと思っていて」


「わあ!お弁当なんてさすができる女子ですね!じゃあ、それと飲み物も僕に…」


上司の受付嬢を口説こうとする現場を目の前にしてなんか気持ち悪くなってきたし、めんどくさくなってきたから


「蒲田主任、ありがとうございます。お二人のお邪魔をしては悪いので失礼します。武蔵新田さん、ありがとうございました」



と言って、食堂で食べるのをやめた。

社員証を届けてもらったことで、お礼するべきだったんか?

関わりたいという下心があればそうしたのかもしれないが…

彼女がいる男がそれをしたらいけない気がするが、俺は本当経験値が低くてよくわからない。



ためしにグループラインを開いて友達二人に聞いてみた。


久:「社員証受け取ったその場で連絡先聞いてその日の夜にご飯いく」


基男:「俺は何もしない。受付嬢に不義理と思われても気にしない。彼女の気持ちが一番大事」



だった。

二人とも即答できるのがすごいわ…。

勝手に基男は俺と同じでコミュ障と思ってたのに彼女に紳士で、ちゃんと芯があった。


基男「彼女から警告されたんだよな?ただでさえ研修で会えなくて不安だろうに、お前がそんなんだったらじきにフラれるからな。」


とまで言われた。


久はおもしろがって

「振られろ〜笑」

と喜んで言ってきた。




えっ俺いずれ振られるの?

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