第2話 ロロ
数日前から夜中まで降り続いた雨で、城の中庭の芝生や木々にも水滴が残っている。まだ太陽が登っていない薄暗い空は、東から徐々に白みがかり明るくなり始めていた。
カーテンが締め切られた薄暗い寝室で、四番目の王子、ロロが兄弟で一番先に目を覚ました。静かに素早く身支度をすませ、雨の気配が残る中庭にやってきた。
小脇に読みかけの本を抱え、反対の手で青く澄み渡った青空のような空色の短い髪を撫でつけた。スラリと背が高く、適度に鍛えているおかげで、実際よりも背が高く見える。優しげな目元にきらりと光る青い瞳。
ロロは、水分を含んだ芝生を踏みしめながら、中庭の真ん中まで歩いた。
そして、ゆっくりと目を閉じた。
周りの木々から聞こえる鳥のさえずり、優しく頬を撫でる風。夏が来る前の少し冷たい空気を味わうように、深呼吸を何度か繰り返し、青く澄み渡る海のようなマリンブルーの瞳で空を見上げた。
今日は末の王子、ココの十五歳の生誕祭だ。それもついに末っ子も大人になる特別な日だ。
ワクワクと誇らしさで胸がいっぱいで、思わず口元が緩む。
今日は間違いなく晴れだった。それも、雲一つない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます