『スイーツで世界を変える:一ヶ原小春の奇跡』
優貴
『プロローグ』
桜舞い散る朝。
風がゆるりと揺れる。
築90年の古民家カフェ「桜日和」は、今日も朝の準備に追われていた。
「ほれ、豆挽いたるで、ちょっと手ぇ貸してちょうよ〜!おお、ちょ、あっつぅ!!」
ガチャン!と響く陶器の音。
カウンターの向こうでは、エプロン姿の少女、一ヶ原小春が両手を振り上げていた。
「やっちまったぁ……また湯呑、割ってまったぁ……!」
朝の光に照らされて、ホコリ舞う木造の天井、壁にかけられた年代物の時計が、コチ、コチ、と音を立てている。
そんな中、PCモニターからは、昨晩のVライバー配信のログインコメントが並ぶ。
> 「コハルん、昨日の方言講座、めっちゃ笑ったww」
「配信しながらおにぎり握るの反則ww」
「コハルんの“〜してまった”が好きすぎる!」
「ふふん、みんなおおきに〜。今夜は桜餅配信でもしたろかいな〜」
まるで二重生活。
リアルでカフェを切り盛りしながら、バーチャルでは陽気な名古屋弁Vライバー。
それが、小春の日常だった。
だが――今日、彼女の運命を狂わす“転校生”がやってくる。
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