第17話

第17話『【都市伝説検証】“百物語を完走したYouTuber”が最終話を投稿できなかった理由』

記録:2024年1月7日/未公開映像、アーカイブログ、視聴者証言より



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ヨウはある噂に目をつけた。

「百物語を動画で完走した者は、最後の話を“投稿できない”」というネット都市伝説。

その真偽を自ら証明すべく、1日1本、怪談を読み上げて100日連続投稿に挑戦した。



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99日目まで順調だった。

だが、100本目を収録した日、彼のチャンネルに異変が起きる。



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● その日の動画は公開予約されたまま、サムネだけが表示された。

背景は真っ黒。中央に“口を開いた白い顔”が静止している。

タイトルはただの数字――「100」。


● 再生ボタンを押しても、**動画時間は「0:00」**のまま動かない。

コメント欄は書き込み不可、評価も表示されなかった。



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ヨウ自身が異変に気づいたのは、朝起きてからだった。

慌てて自分の投稿履歴を確認すると、動画そのものが「存在しない」扱いに。

サムネすら消えていた。


だが、リスナーの一人が画面を録画していたことで判明した事実がある。



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録画データに映っていた「0:00」の黒い画面には、

音声だけがループで再生されていた。


> 「……オマエガ カタッタ ハナシ…… ダレノ ハナシ?」




声は、ヨウのものではない。

しかし、どこか聞き覚えのある声色で、

不自然な間(ま)と、擦れたノイズが混じっていた。



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その日を境に、ヨウの動画投稿は途絶える。


Twitterの更新も止まり、連絡が取れなくなった彼に対して、

ファンが心配して警察に安否確認を依頼するが――


「自宅には誰もいなかった。中は生活感のない状態だった」とのこと。


ただひとつ。デスクのモニターには、例のサムネだけが表示され続けていたという。

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