第8話 イチャイチャ日常
次に会える日、ようやく訪れた週末の午後。
駅で待ち合わせして、いつものカフェに入る。
「華乃、前よりちょっと大人っぽくなった?」
「え、急に何?そういうこと言うのずるい」
「だって、今日の服かわいいし……似合ってるよ」
「……ありがと。輝人も、今日はなんかカッコいいかも」
「かもってなに、かもって」
言い合いながらも、自然と笑いがこぼれる。
カフェの席では、向かい合わせなのに、気づけば足がちょっと当たっていたり、
ジュースをひとくち飲んだ後、ストロー越しに「飲んでみる?」なんて顔を赤らめながら言われたり。
「……こういうの、ちょっと恋人っぽいね」
「うん。でも、まだ慣れない」
「じゃあ、慣れるまで一緒にいよ?」
言われた瞬間、華乃はストローをくわえたまま固まって、次の瞬間にはうつむいて笑い出す。
「そういうこと……ナチュラルに言うのずるいってば……」
店を出てからは、並んで歩きながら、自然と指先が触れる。
意識してないふりしてたけど、何度も触れてるうちに、
華乃のほうからそっと、手を繋いできた。
「……こういうの、いつかやってみたかったんだ」
「俺も」
夕陽が少しだけ差し込んでくる帰り道。
手の温度と鼓動が伝わって、何も話さなくても、ずっと一緒にいたいって思えた。
別れ際、駅の改札前で。
「……また、通話して寝る?」
「もちろん。……今度は、寝落ちする前に“好き”って言ってね」
「じゃあ、今日は5回くらい言う」
「え、そんなに?笑」
「華乃が聞きたがるからでしょ」
「……じゃあ、私も言うね。5回どころじゃ済まないくらい」
顔を見合わせて、照れくさいまま笑い合う。
付き合い始めたばかりの2人の日常は、
まだ不器用だけど、甘くてやさしい時間であふれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます