第六章:部室のラップ音の怪

■1■ 10月11日(土) 部室

 部室棟の廊下に張られたテープを切って、そのランナーはゴールした。


「やったな、和十!」


 僕は和十とハイタッチをする。和十はそのまま真知子、寧音ともハイタッチした。


「そうそう、和十すごいすごい! 作戦バッチリだったねっ!」


 真知子も少し興奮気味に言う。


「いや、俺はただやり方を聞いただけだから」


 和十は照れながらも嬉しそうに言う。


 陸上部ランナーの霊を、ゴールテープを用意する事で成仏させる……こういう方法もあるんだな。


 部室でラップ音がする件に関しては、壁にヒビが入り、建物が僅かに歪んでいるのが原因のようだった。これはこれで問題なので保科先生に報告し、後日詳しく専門家に部室棟を調べてもらうことになった。


「願いを叶えて浄化させる……こういう方法は素敵ですね」


 寧音はそう言って優しく微笑んだ。


「それでは、花園学園七不思議6……陸上部の部室で奇妙なラップ音がする……無事に解決、だね!」


 真知子は意気揚々と解決を宣言したのだった。

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