第20話 ユウト、レアドロップを求める

渋谷ダンジョン。

その深層には、希少な素材、未知の魔物、そして名誉が眠っている――。

そんな話は、何度も聞いてきた。


けれど、ユウトにはあまり関係なかった。


深層? ボス? レアダンジョン?

興味は、薄い。


ユウトが求めているのは、もっと違うものだった。


リュックを肩にかけ、ダンジョンのエントランスに立つ。

この慣れ親しんだ感覚。地下に降りるたび、心がざわつく。


(今日こそ、出るかもしれない……)


胸の奥が、高鳴る。


子供のころから、ユウトはずっとダンジョンで「遊んできた」。

ただ生き延びるためじゃない。

ただ強くなるためでもない。


たまに現れる"あの瞬間"。

ドロップ品が、ぽろりと、地面に転がるときのあの喜び――。


それを、ユウトは知ってしまっていたからだ。


普通の冒険者が、レベルを上げ、深層を目指すために潜るなら。

ユウトは、レアドロップを求めて、ひたすら浅層を回り続けた。


「今日も、狙っていくか」


低くつぶやき、ユウトはダンジョンへと足を踏み入れる。


目当ては特別なアイテム。出来ればコンプリートしたい。


ゴブリンの牙のなかでも、わずか数%の確率で落ちる"牙結晶"。

コウモリの群れから、たった一匹しか落とさない"光翼の羽根"。


そういう、珍しくて、誰もが欲しがる一品を、自分の手で集める。


それが、ユウトにとっての"遊び"だった。


レベル?

ランク?

そんなもの、結果でしかない。


「全部、集めたいんだよな……」


ダンジョンの壁に手を触れながら、ユウトは小さく笑った。


深層には興味がないわけじゃない。

だけど、ユウトにとっては、目の前のドロップ一つひとつが、何よりの報酬だった。


子供の頃から変わらない。

戦いは、ユウトにとって、遊び場だった。

そして、最高の宝探しだった。

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