聖女の覚悟
「はぁ…はぁ…っ
全部、
俺は今、教室で幼馴染の
これも今朝のように夢だったらなーと現実逃避するしかなかった
なんでこうなったのか時は少しさかのぼる
人見さんと話した、その日の放課後
俺はついに意を決して杏子に謝ろうと思った
今朝のあの態度は流石によくないよな
そうして部活が始まる前に決着をつけようと思った
杏子に『どこにいる』と連絡する
しかし全く既読が付かない
仕方がないので
杏子と人見さんは部活も一緒だから一緒にいるだろうという考えだ
案の定すぐに連絡が来る
『教室に杏子ちゃんといる』
ナイス人見さん!
急いで杏子の教室に向かう
途中の廊下には人っ子一人おらず、何かデジャブのようなものを感じる
そうして到着し、扉に手をかけた瞬間
「それでね!良平がねー!」
と話す杏子がいた
この空気で入ると本当に関係が変わるような気がして、ためらう
「ん?連絡したいの?いいよ~」
そう杏子が言うと急に静かになる
『はよ入ってこい』
やはり俺が教室に来たことに気づいた人見さんから連絡が来る
『この空気は無理、頼むからいつもの杏子に戻してくれ』
『私にはこれがいつも通りなんだ』
『そこをなんとか』
そう連絡すると杏子が突然話始める
「良平って凄い分かりやすい性格してて可愛いんだ」
いきなり話し始めたので俺も人見さんも困惑する
「私に居場所を聞いて、返ってこなかったらすぐに他の人に聞くとことか」
嫌な予感がしたので去ろうとする
そんな努力も虚しく、教室の扉は勢いよく開かれる
「朝、いきなり私との距離ができたり…ね?良平さん」
「あ…ははっ」
獲物を見つめる肉食動物のような目をする聖女様ににらまれる俺
わりぃ、死んだ俺
「さて、良平さん
盗み聞きはよくないですよね」
「はい、おっしゃる通りです」
「ましては乙女の秘密を」
「……でも結構大きな声で」
「な・に・か・?」
「ナンデモアリマセン」
俺は今、床に正座させられている
目の前には珍しく足を組んでいるマジギレ聖女様
その横には俺を面白そうに眺める人見さん
俺は見世物じゃないんだぞ
「さて…この様子だと昨日、私の秘密を知ってしまったと
それで私関連の夢を見て目が覚めてしまったのが今日の朝ということですね」
「ビックリするほど当ててくるな!正解だよ!」
「良平さん検定準一持ってますので」
「どこの検定だよ」
「あなたのお母さんのですね」
「マジかよ母さん最低だな…ふっ」
「何笑っているんですか余裕ですね」
「いや、懐かしいなって思って
昔はこんな感じで話していたのにな
いつからか杏子がお淑やかになって、こういう風に話せなかったんだよな」
そう言うと今まで黙っていた人見さんが少し不機嫌そうに
「…それ、良平のせい」
と俺の頬をつまんでくる
「ちょっ!人見、それ言わないでくだっ!」
「良平の、初恋の人の真似をしてるんだって」
「あ~‼‼もぉ恥ずかしすぎ」
「俺の初恋の人…?」
「しかも良平さん忘れてる風ですやん!」
「これは…杏子ちゃん、よかった…ね?」
「よくねぇですよ!」
聖女様に段々と芸人でも乗り移ってきたかというぐらい口調が変だ
「人見さん、杏子っていつもこんななのか?」
「今日は…一段と、変」
「そっかならいいか」
「よくなぃい~」
ポコッと杏子が人見さんを突く
ははっ、人見さんが死ぬほど痛そうな顔している以外は平和だ
「ちょっ…死ぬ…っ!」
「人はそんな簡単には死なないって」
「いや…馬鹿力がっ…ぁ!」
「そろそろやめてやれ
本当に死にそうだから」
「も~良平さんも失礼ですねっ!」
俺もポコッと頭を殴られる
するとどうだろう
脳がコロンッと揺れる感じがする
「いや!死ぬわ」
「りょっ、良平さんまでそんなこと言うんですか⁉」
「杏子は自分の力を知れ!意識跳びかけたぞ!」
「そ、そんな…私はまだ本気を出していないのに」
「まだ上があるってのかよ」
「ええ、ええ!そうですよ!
力の差があるなら最初からこうすればよかった」
虚ろな目でそう言うと俺のことを押し倒してくる
「…は?ちょっ!杏子、待て…」
「待ちません!はぁ…はぁ…っ
全部、
「待て待て!人見さん!止めて!」
「ん…見てない、よ?チラッ」
「なんでエッチなものを見る男子高校生みたいなことするんだ!
…待て!本当に脱がせるのは違う!」
いつの間にかシャツのボタンをはずされている
「ま、任せてください
良平さんは天井のシミでも数えていればいいです」
そう言うと杏子も制服を脱ぎ始める
「待て待て待て
これ以上はダメだ!ライン超える!ダメ、絶対!」
「ふふっそんなこと言って良平さんも興奮して…ん?」
俺のナニとは言わないが大きくなったものを触る杏子
「りょっ、良平さん
…これデカすぎません?」
「………まだ本気を出していないぞ」
「……………きゅぅ」
突然倒れる杏子
「杏子ちゃん…規格外に、負けた
流石、良平の…暴れん坊ムスコ」
「え?勝手に暴れられて勝手に死なれたが?」
「そう、だね
まぁ杏子ちゃんは、任せて
部活…頑張って、ね」
「ま、まぁそう言うことなら任せるわ
じゃあなー」
「ん」
そうして逃げるように部活に向かう
明日から一体どうなることか
「…平さん、良平さん、起きてください」
「…ん?あぁ起き…ん?」
いつもとは違い俺の上に何か乗っている
「重い」
「乙女に向かってひどくないですか?」
「…そうだな、何で俺に馬乗りしてるんだ杏子」
「そうですね…しいて言うなら良平さんへのアピールです
昨日、人見ちゃんに言われて気づきました
家族として見られていないと言われた私でも興奮してくれたのでまだ可能性はありますよね!」
なんていらないことを言ってくれたんだ人見さんよ
「まぁ頑張ってくれ杏子
俺、風呂入ってくるから」
「…ご一緒してもよろしいですか?」
「よくOK出ると思ったな!」
俺たちの関係は大きく変わってしまった
昔の方がよかったところもあるが今の関係も嫌いではない
ゆっくりと俺たちのペースで歩いていけばいい
そう思う今日この頃だった
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