ロキ

アオバ ツボミ

一章

第1話 静かな森の中

バン、バン、バン


静かな森の中に銃声が鳴り響く


「一発当たった」


すかさず一気に距離を詰め、腰に下げたナタ抜き、ロキの肩に向かって振り下ろす


「チェストォォォォ !」


バキバキという音とともにロキの腕が裂ける


ロキというのは人型の殺戮マシーンだ。

いくつか種類はあるが基本的には腕から高出力のビームが出せる

俺たちが使ってる光線銃も元はこの腕を改造して作られたものだ。


ロキはのけぞりながら距離を取り、金属質な声を上げた


「キェェェェェッ!」


こいつ仲間を呼びやがった!


タイマンなら勝てるが囲まれたらヤバイ。早く壊して逃げなくては


ロキの胸部に狙いをさだめ、光線銃を連射する


3発当たった!


3発目が当たると同時にロキの胸に亀裂が走る


俺は一気に距離を詰めようと踏み込む。

しかしその瞬間、ロキの腕がこっちを向いた。


―――ビームだ!撃ってくる!


とっさに俺は地面に転がる


すぐ脇を熱線がかすめ、地面が爆ぜる音が響いた。


ドゴォオオオン!


「ぐはっ」


被弾した。

かすめただけなのにあまりの痛さに一瞬足がもつれるが、

歯を食いしばり


「チェストォォォォ!」


気合いでナタをロキに向かって投げる


ナタは唸りを上げて飛んでいき、

ロキがナタを打つ落とすために一瞬照準をそらした


「隙ありぃいいい!」


すかさず光線銃の引き金を引く


―—―カチ、


光線銃の乾いた音が聞こえた


「エネルギー切れだぁああッ!」


「キィイイイギィィイッギィイイイッギィイイ」

ロキが甲高く叫ぶ


―—―バギッ


ロキが撃ち落とし忘れた俺のナタが胸に刺さる


「バカめぇえええ」


すかさず一気に距離を詰める


「チェストォォォォ!」


胸に刺さったナタを全力で押し込む。

それと同時に


―――ドォォオオオォンッ


ロキの胸に埋め込まれた太陽結晶が爆発した。


太陽結晶とはロキの動力源だ。ロキ以外にも光線銃にも使われている。

作り方も仕組みも分からないが、太陽から出る光のエネルギーを蓄え、衝撃が加わるとそのエネルギーを放出する性質がある。

しかし衝撃がが強すぎると爆散することもある。


俺は破壊したロキの破片を集めてそくささとその場から離れた。



それから3時間ほど歩いたころだろうか


俺は完全に迷子になっていた


―――キィイイイキィイイイギィィイッ


遠くからロキの声が聞こえる

見つかったか。いや、だとしたらもう奇襲されてるはずだ


俺は音の発信源にむかって慎重に走りだす


見つけた。女性が1人ロキ4体に囲まれている


4体はヤバい、俺なら1分足らずで殺されるだろう


そのうち2体は半壊、残り2体は目立った傷は無さそうだ


―—―いや、もう1体いたらしい

そいつは今彼女の足元に転がっていが、


この女、凄く強いぞ


俺は静かに半壊したロキの背に回り込み


「チェストォオオオオ!」


ガラ空きの背中にナタを突き刺す


―――ドォオオォオンッ


ロキの太陽結晶が爆散した


それと同時に5本の腕が俺に向けられる


―—―あ、終わった


ドォォオンッ


避けきれ無かった。


ロキの腕から放たれた熱線が俺の肌をこがす


「よくやった少年!」


薄れゆく意識の中、あの女の声が聞こえる


「今のうちに逃げるぞ!」

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