第4話 暗闇ジョーク
「
か?」
シンラのいきなりの
「分かりません……正確には判断が出来ませ
ん……ですがナナシの許可が必要とされるこ
とから、ナナシに関する内容だと思われま
す」
「お、俺の許可!?」
意外なシンラの答えにナナシは動揺する。
「おそらくは、ナナシを知っている第三者……
もしくは過去のナナシが設定したものだと推
測されます」
心臓の音が速くなるのが分かる。
無くした記憶に関する情報がこんなにも早く舞い込んできたのだ。
「シンラ、許可する」
一気に謎が解けるかもしれない。
そうすればこの絶望的な状況で、一気に生き延びる確率は上がる。
許可を出さないわけがない。
「アクセス許可を確認、解析を始めます。解析
まで10分程度を予定。
同時に
ます。
------アクセス開始-----装置の操作権を取得、ナ
ナシ、乗り込ん……昇降装置上部に熱源を確
認、緊急退避を推奨しま------」
”ドン!!“
シンラが言い終わる前に、エレベーター上部の方で爆発するような音が響き渡った。
「おいおいおいおい!!さっきからタイミングが
良すぎはしないか!?」
ナナシは急いで元来た道を駆け戻る。
「あくまで推測ですが、ナナシの行動が何者か
に監視されている可能性があります。ナナシ
が何か行動を起こしたタイミングで、“やつ
ら”が必ず何らかのアクションを起こしていま
す」
「やつら!?何が相手だか分かったのか?」
「分かりません……すみません、でも分かりま
す。”やつら“の好きには……解析中断……再
起動に入……」
急にシンラの会話が途切れ途切れになり、応答が途絶えてしまった。
「まじかよ!!こんな時に洒落になってないぞ!!」
全力で走りながら後ろを振り返ると、急に目の前が真っ暗になった。
恐らくシンラのナイトビジョンの機能が喪失されたのだろう
「はは……考えうる中で一番最悪な状況だ」
息を荒げながら、諦めた様に笑いナナシは走るのを止めた。
暗闇で動けば命取りになる。
すると奥の方から赤く光る2つの点が近づいてくるのが分かった。
「もしかして!おーい!!シンラ、こっ……
ち……流石に詰みかもな……」
近づいてきたのはシンラのポッドではなく、異形の生物だった。
目の前に巨大な化け物が空中に静止している。
それは、絵に描いたような不快な姿だった。
「………あの、ベノムさんですよね?」
不自然に口角を上げて作り笑いをしながらナナシは、
……………沈黙………………
「あ……じゃあ俺は先を急ぐのでこれで!!」
ナナシは回れ右をして、エレベーターのあった方へ振り返る。
同じ生き物が目の前にいた。
「君はお兄ちゃんかな?」
次の瞬間、強い衝撃と同時に、背中から激痛を感じた。恐らくハエ兄弟に何らかの攻撃され、ナナシは壁に思い切り打ちつけられたのだ。
「こ、これは来世に期待かもな……じ、人類は
滅んでるからそれは無理か……」
ブラックジョークを披露したが、
どうやら彼らにはユーモアはないようだ。
すると、そのうちの一匹がナナシへ静かに近づいてくる。
よく見ると、口の回りがグニグニと笑っているかの様に動いていた。
「まさか、ウケたとか?」
口を開くと、グロテスクな口の中央にヤバそうな光が集まっていた。
離れているのに、その光がかなりの高熱を
「……笑えよ、クソバエ共が」
ナナシは諦めて目を瞑る。
そして次の瞬間には、いきなり体が軽くなった様な気がした。
「思ったより楽に死ねる光だったな……むしろ
無重力みたいで気持ち良い位だ」
「
けた脱出プログラムへ移行します……300年
たっても相変わらずのマヌケさは健在です
ね」
死後の余韻に浸っていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
心地良い感覚に満たされ目覚めたくないが、仕方なく目を開ける。
すると、知らないメイド服を来た白髪の美少女にお姫様抱っこをされて、宙を浮いていた。
「あれ?生きて………る?」
ナナシは少し呆れた顔をした美少女を見つめながら、気を失った。
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