第8話
―――――――………
「え、あれ…」
それから俺はまた眠ってしまったらしく、気がつけば時計は夕方の4時を示していた。
いつの間に…。
だけどこんなに寝たにも関わらず、俺の心の中は寝る前よりさらにもやもやしていた。
もうなんだこれ。
「あー駄目だ、でかけよう」
家にいるからこんなグダグダしちゃうんだ。
部屋から出て、近くのコンビニでジャンプを立ち読みした。
ついでにサンデーやマガジンも全部読んだ。
最終的に店の人に長居を注意され、ミネラルウォーターとフライヤーのチキンだけを買ってコンビニを出た。
もうこの暇つぶしの仕方完全に高校生。
ぼーっと沈みそうな夕陽を見つめながら、そう言えばボールペンのインク切れてたなって思ってすぐそこにあった文房具屋に入った。
書きやすいボールペンを探していたら、1個向こう側のノートのコーナーの方から男の声で会話が聞こえた。
「そういえば今日の藤波先生、なんかすげー元気だったよな」
「あー、俺も思った。なんかあったんじゃね?」
藤波先生?
俺は日和を中3の時、そう呼んでいた。
だから余計にその会話に過敏に反応したのかもしれない。
もしかして、日和の生徒かな…?
ボールペンを置いて、隣の列に移動してみると、やっぱりそこにいたのは日和の学校の
制服を着た生徒たちだった。
「藤波先生って確か彼氏いたよな?」
「あーあれじゃね?プロポーズされたとか!」
…思わずむせそうになった。
いや、むしろその逆!って突っ込めるわけもなく、俺は近くのノートをぺらぺらめくりながら気づかれないよう に聞き耳を立てた。
「てか藤波先生って可愛いよな」
「うんうん。字綺麗だしさ、声も可愛いし、何よりあの笑顔ね」
「とても29歳には思えないわ」
うん、それは俺も思う。
よくわかってんな、生徒AとB。
「なんかこう、守ってあげたくなるよね。全然年上なのに」
「わかるわー。なーんでだろうね」
…そうかな。
そこにはイマイチ共感できなかった。
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