第8話 目的と遺産 ― 意味ある人生の設計

人生の後半に差しかかると、多くの人がふと立ち止まり、こう自問する。


「私は何のためにここまで生きてきたのだろうか」

「この先、何を残せるのだろうか」


若い頃は、成功や成果、評価を求めて走り続けたかもしれない。

しかし、ある時点から、“量”ではなく“意味”を求める感覚が芽生えてくる。

それは人として自然な進化であり、第二の7つの習慣が最も力を発揮する領域だ。


● 達成から「意味」へのシフト


これまでに築いてきたもの、得てきたものは、

やがて形を変え、「何を遺すか」という問いへとつながる。


・子どもや部下にどんな価値観を渡せたか

・自分が関わった組織にどんな文化を根づかせたか

・社会に対して、どんな善意の循環を残せたか


これは、単なる“功績”とは違う。

「どう生きたか」が、そのまま周囲に“遺産”として残るのだ。


● 人生設計は、晩年から逆算してつくる


スティーブン・R・コヴィーは、第一の7つの習慣の中で、

「終わりを思い描くことから始める」と説いた。

第二の7つの習慣においても、これは核心的な指針である。


・自分の葬儀に、どんな言葉を贈られたいか?

・人生の最期に「これだけはやってよかった」と思えるものは何か?

・後悔のない人生にするために、今何をすべきか?


こうした問いは、決して暗いものではない。

むしろ、最も力強く、希望に満ちた行動計画を生む原動力になる。


● 意味ある人生とは、誰かの“希望のモデル”になること


人生の意義とは、誰かに感謝されることでも、社会に評価されることでもない。

**「あの人のように生きてみたい」**と、誰かの心に希望の灯をともすこと。

それが、最も純粋で、最も深い遺産となる。


・苦労しても折れなかったその姿

・ぶれずに大切なものを守り続けた信念

・人を支えることに喜びを見出していた優しさ


こうした“在り方”そのものが、次世代に受け継がれていく。


● 習慣6:「自分の“人生のモットー”を書き出してみる」


今日から実践できる第六の習慣:

自分の人生を一言で表す“モットー”を考えてみる。


たとえば――


・「一隅を照らす」

・「楽しむことを忘れない」

・「何があっても人を信じる」

・「損して得とれ」

・「誠実は最強」


この“言葉”は、ブレそうになる自分を支えてくれ、

また、人生の遺産として誰かの心に残ることだろう。


あなたが今から選び取る“生き方”は、

静かに、しかし確かに、誰かの未来を照らす光になる。


次章では、その「光」をどのように次世代へと引き継いでいくか、

そして“最後の習慣”がなぜ、未来そのものを開く鍵となるのかを探っていく。

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