蒼氷ノ境界 ―ダンジョン・クロニクル―

秋雨春月

あらすじ

人類が緩やかに衰退し始めた時代。

都市の空を裂き、突如現れた異空間ダンジョンゲートが、世界に新たな災厄をもたらした。

内部には危険なモンスターが跋扈し、放置すれば人間界に大量発生する《スタンピード》が発生する。

この脅威に対抗するため、人類は“覚醒者”の力に頼るしかなかった。


主人公・**氷室 澪(ひむろ みお)**は、才色兼備ながら周囲と距離を置く高校生。

文武に秀でながらも人付き合いを避け、“高嶺の花”と呼ばれる彼女は、両親を早くに亡くし、祖父母と静かに暮らしていた。

ある日、通学路で偶発的に発生したダンジョンゲートに巻き込まれ、命の危機に瀕する澪。

その瞬間、彼女の内に眠る“氷の力”が目覚め、モンスターを一閃にして凍てつかせた。


澪の力は、国家機関〈特異災害対処局〉に発見される。

彼女に接触したのは、部隊を率いる冷静沈着な美貌の指揮官・千堂 葵(せんどう あおい)。

葵は澪の資質を高く評価し、彼女を限定出動の特殊戦闘員としてスカウトする。

澪はコードネーム《氷華》として、学生生活を送りながらダンジョン戦闘に身を投じることになる。


戦いの中で澪は、“スキル”や“レベル”といった成長要素と向き合い、戦闘ごとに強くなっていく。

一方で、魔石を巡る裏の研究――人体への直接吸収による兵器化計画という闇も浮かび上がる。

澪の両親の死には、この計画が関与していた可能性もあり、葵はその真実を知りながらも彼女を守ろうとする。


また、学校では数少ない親友・**奏(かなで)**との関係も少しずつ深まり、澪の中に芽生える感情が新たな力の覚醒を導く。

孤高だった彼女は、初めて「守りたい」と願う人を得て、自身の力の意味と向き合い始める――。


第一部は、澪が“ただの高校生”から“氷華”へと変わりゆく成長の物語。

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