第47話 2人の休日

 今日は休日の日曜日。身体と心を休める大切な日だ。


 だというの何故か俺は家の倉庫から脚立を取り出し、小鳥遊さんが風呂場に備え付けた監視カメラを撤去している。だいぶ上に設置されているので脚立を設置して俺が脚立へと上り小鳥遊さんが脚立を抑えるがかりだ。


「……おい。元彼女よ。流石に風呂場だけで監視カメラを10台も設置するのはどうかと思うぞ」

「元彼女じゃないもん。現役彼女だもん」


 小鳥遊さんは俺が脚立の上に座っている事を良い事に俺の尻に顔を押し付けて来た。


「ちょっ! 止めろ。体勢を崩して脚立から落ちたらどうする気だ?」

「落ちないよ~! 私が桐生くんを支えてあげてるんだから……それより最初にお風呂なんて大胆だなぁ。桐生君は、この後は食事かな? それともわ・た・し♡」


パチンっ!


「い、痛い~! 何でデコピンするのよ~」

「監視カメラを撤去出来て片手が自由になったからだ。たくっ! あの凪の部屋での出来事以来、理性のブレーキが効かなくなったのか? ちゃんと制御しろよ。変態さん」

「へ、変態じゃないもん。柊だもん」

「はいはい。ひーちゃんは変態さんですね~」

「なっ! 何よそれ~」


 ……本当。最初に間違って告白した時よりも大胆になって来てるよな。


 さっき部屋から出る時もパジャマから私服に着替えるのを手伝わせるし。髪を整えるのもやらされた。


 小鳥遊さんがどんどん甘えん坊になってきている気がするのは俺の考え過ぎか?


《士郎の部屋》


 現在、俺は小鳥遊さんが登っている脚立をおさえながら自室の床を見つめている。


「ねえ。桐生君~、もっと上なのかな~?」

「……知らんがな。つうか。今、上を向いたら君のスカートのあれが見えるから、顔上げられないだろうが」

「え~、なら顔上げちゃいなよ~、そうすれば。私のスカートの中、見れちゃうよ~」


 くっ! この変態美少女。だから今度は私が脚立に乗りたいな~、とか言ったのか。


(桐生くんの部屋の監視カメラなら私の身長でも届くから、今度は私が脚立に乗るよ~)

(ほう。それは助かるな)


「見たくないわ。そんなの……それよりも早く監視カメラを外してくれ。君に怪我なんてしたら俺は……」

「キャー! 桐生くん。壁に虫があぁ!」

「は? ちょっ! 大丈夫か! 柊」


 小鳥遊さんの叫び声を聞いた俺は慌てて立ち上がり。顔を上へと向けた。すると……


「ぐぉ?! 何だ? この柔らかい感触は?……それにピンクの布か?」

「しゃんっ!……桐生くんのエッチ。私のスカートよ中に頭を入れるなんて大胆だね」


 小鳥遊さんのスカートの中へと頭を突っ込ませてしまったらしく。視界が暗い。


「……君。計ったな」

「ん~? 現役彼女の可愛いパンツにお顔をグリグリしている変態さんが何を言ってるのかな? ん~?」


 小鳥遊さんは何故か嬉しそうに足をもぞもぞさせ始め。それと同時に両手でスカートの中へにある俺の頭を優しく撫で始めた。


「……なあ。こんな所を他の人に見られたらまた誤解されるだろう。ただでさえ俺達の知り合いは盗撮魔が多いんだからさ。君も含めて」

「柊ちゃんを夏ちゃんや光莉ちゃんと同じカテゴリーにしないでほしいんだけど?」

「いや。同類カテゴリーだわ。むしろ今なら君が一番ヤバイだろう」

「ヤバくないもん。幸せだもん……こうして史郎くんと一緒に居られるだからね」


 くっ! こんな状況で何を言っとるんだ。たくっ! 


「午後から一緒にデート誘おうと思ってたけど。止めとくか。こんな事してたら家中の監視カメラの撤去なんて終わるはずない……」


カチャカチャ……


「うん。桐生くんの部屋の監視カメラは全部撤去し終わったから。今度はリビングの監視カメラを撤去するよ! さぁ、午後までに全部の監視カメラを撤去しちゃおう! 急げ~、桐生くん」


 小鳥遊さんはそういうと脚立から素早く下りてリビングへと向かって行った。


「………スカートの中、良い匂いしたな。あっ! やべ、なに言ってんだ。俺は……」


 俺も小鳥遊さんを追いかけてリビングへと移動した。

 

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