第43話 凪さんの一線

「凪の部屋」


数分前。


「凪。俺が悪かっただから。この手錠を外してくれ」

「……駄目よ。士郎、もう私も我慢できないの。だから貰うからね。士郎の初めて」



 光莉ちゃんの暴走から一晩明けた後、何故か士郎は私をかかえる様にしてベッドに寝ていたの。


 士郎の可愛い寝顔を見て、私はある行動に出ることにした。もう昨日の夜の光莉ちゃんの様に、私から士郎を襲って既成事実を作っちゃえば良いってね。私、天才ー!


「スゥースゥー」


 そして、その隣には光莉ちゃんも普通に寝てるし……相変わらず。ドスケベな身体をしてるわね。士郎に無意識に抱き付きながら寝てるし。


「凪……駄目だってこんな所をもし小鳥遊たかなしさん達に見つかったりしたら……むぐ!」


 士郎のうるさい唇に優しく左手を当てて塞ぐ。


「もうそんな事どうでも良いのよ。それに今日は土曜日でお休みよ、だからどんな事をしても大丈夫なの」

「………んがぁ! な、何をする気だ? 凪」

「ナニをするのよ。士郎」


 相変わらずの可愛い顔ね。これでどれだけの女の子をたぶらかして来てるのよ。


 まぁ、私もその1人ですけど……先ずはTシャツを脱がせてと。


「ちょっ! 何、俺の服を脱がせてる? 普通逆だろうが」

「もう遅いのよ。時間が経てば経つほどライバルは増えてくるし。士郎は新しい女の子と仲良くなっちゃうし……こんな危ない刀は私というさやでキツくおさえておかなきゃ行けないの」


 私はそう言って、士郎のお腹辺りをさする。


「止めろ!! どこ触ってる。こんなの普通逆……スボンを下ろすな! 凪」

「容赦は無しよ。このままゴールインさせてもらうんだからね。ひーちゃんよりも先に貫通するの。突貫工事よ」

「何を貫通させる気だ! ひ、光莉。起きろ。凪の暴走を止めるんだ」

「シー君……抱いてぇ♡」


 幸せそうな顔で士郎の腕の中で眠る光莉ちゃん。


「くそぉぉ! 俺の周りの女の子は変態しかいないのか? 何で際どい下着で俺に迫って来てるんだよ」

「現役の10代の子なんて皆、そんなもんじゃない。それに士郎だったて、お腹の下。こんなになっちゃってるじゃない」


 私はそう言って士郎のスボンを脱がした。中学生以来の士郎の身体……なんかたくましくなったわね。昔よりも。


「腹筋も割れちゃってるし、結構鍛えてるのね。士郎」

「……凪。もう止めろ。俺、このままだともう我慢できなくなるぞ」

「止めろと言いつつ。こっちは元気じゃない。じゃあそろそろお試しの」


ガチャッ!


「凪~、お母さん。少し出かけるから……」

「「へ?」」


 突然、私の部屋の扉が開いたと思ったら。私のお母さんが部屋に入って来た。


「アナタ達。何をしているの?」

かおるさん。助かりました! 助けて下さい。今、凪に襲われてて……」

「マ、ママ。これは既成事実をね」

「ん~? そうなの? あら? 光莉ちゃんもドスケベな格好で寝てるのね。3●するならご近所の迷惑にならないようにね~、じゃあ。私、買い物行って来るから……ごゆっくり~」


ガチャ!


「うん! 私、頑張るね。ママ!!」

「くそぉ!! 止めてくれるんじゃないのかよ。俺の貞操危機だぞ」

「ママは私に甘々あまあまだもん……それよりも昔より多きね。色々と」

「……つっ! どこに手をやってんだ? 凪……てっ手錠が外れた?」

「わざと外したのよ。それで良いの? このまま振り下ろしちゃっても? 抵抗しないと大惨事になっちゃうわよ。士郎」


 私は士郎に最後の警告を伝えて……


「あ、ああ……冷静になってくれたんだな。凪、なら直ぐに俺のお腹の上から退いて…………は?」


 士郎が私をお腹から下ろそうとした瞬間。


「んぁ……チェックメイトしちゃったわね。士郎……てっ? 入ってない?」

「間一髪でしたね……シー君」

「その声は光莉ちゃん?」

「ひ、光莉! 良し。俺を解放して…」

「私が代わりになります……シー君。行きますね……」


 光莉ちゃんはそう告げて体勢を変えようとしたけど。


「駄目に決まってるでしょう! 士郎の身体は私だけのものなんだから」

「お、おい! そんなに暴れたら体勢崩して、ベッドから落ちるだろう。凪」

「では、3人でみだらに落ちましょう。えい」

「はい? ちょっと! 何してるのよ。光莉ちゃん何で私と士郎の身体にしがみつくいてって落ちちゃう!」

「うおっ! 確りしろ。凪、掴まれ!」

「ちょっ! 駄目、士郎。その体勢は駄目えぇ!!」


ズドン!!

「「あっ!」」

「シー君、凪さん……その体勢は……」


 私達。3人はベッドから落ちて変な体勢になってしまったの。大変な体勢でね。


 私に密着していた士郎は直ぐに私から退いて、私はなんかボーッとしてたかな。


「フフフ……シー君。これ大変な事になりますね」

「誰のせいだ。アホ光莉。誰の……てっ! 俺は凪を助けただけだろう」

「凄い光景でしたけどね」

「光莉のせいだろう。この……」

「あっ……シー君。何するんですか。あんな後なの~」


 そして、2人は何か言い争ってたけど。私はなんか眠くなって寝ちゃったのよね。


 

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