第5話 放課後は恋人デート
「見て! あのカップルヤバくない?」
「うわぁー! 彼女さん。モデル見たいに可愛い
「おい。あの娘、メチャクチャ可愛いないか? 声かけて見ようぜ」
「アホ。隣見てみろよ。彼氏さんが入るだろうが…」
◇
「私達。かなり注目されちゃってる感じ?」
「さぁー、どうだろうか。俺はともかく
「えー、そんな事ないよ。桐生君だってこんなにカッコ良くて背も高いんだから。私と同じ位目立つと思うんだけどなぁ」
私と同じ位か。凄い自身だな……まあ、この娘は確かに飛鳥学園でも凪と双璧を成す、美少女だもんな。
俺の周りに居る親友の彼女達も、かなりの美少女達ではあるが……この娘はそれにプラスしてだ。
「んー? どうしたの? 桐生君。もしかして私に
「いや。そんなわけないだろう。多分……」
「えー、何それ?
思春期男子を1発で口説き落としてしまう天使の様な微笑み。
そう! この最強の
しかし、俺は気づいてしまった。あの昼休みの色んな意味での公開処刑で、彼女の本性を───
「ん? 放課後デート楽しみだね? 彼氏君」
「ハハハ。そうだね。小鳥遊さん」
彼女はかなりの腹黒で猫かぶりなのだと。
俺は常に腹黒い悪友達と日々を過ごしているので、人の腹黒さにはかなり敏感なんだ。
なんせ、負ければ何かしら重い罰ゲームを毎回、課して来るアホの悪友達と過ごせしているのだ。
そんな奴等をどう罠にはめるかを日常的に考えていれば、人の本質を見にくのも得意になっていき敏感になるんだよな。
そして、その敏感パラメーターの針がアウト側へと振り切っているのがこの小鳥遊 柊さんなんだが。
不味い。これ、この娘の術中にピタゴラススイッチしてないか? 明らかに既成事実を外側から埋められている様で仕方ないんだが?
「あー、マスドの限定フラペチーノだって。美味しそう! 桐生君。マスド寄ってこうよ。マスドー」
小鳥遊さんは、猫なで声で俺の右腕に自分の体を
クソオォォ!! 可愛すぎんだろうー! なんだこの可愛さ。これで落ちない男子高校生っているのか?
いや、入るなここに1人。俺なんだけどな。
「そうだね、行こうか。マスド、小鳥遊さんの為にね」
「あれ? 可笑しいなぁ? 昼間と違って反応薄くないかな?」
俺は最愛の幼馴染み。
「いらっしゃいませ~、てっ桐生君じゃん。そんでお隣は小鳥遊さん? 不味……」
店内に入店すると店員さんが元気に挨拶をして来たと思ったら、この娘は同級生であり。俺の悪友の1人、
「こんにちは~、筒井さん」
満面の笑顔で小鳥遊さんがアスナに手を振っている。
「よう! アスナ。何が不味いんだ? 俺達はちゃんと客として来たんだぞ。別に変な事なんて何も……」
「アホ。その意味での不味いじゃんないわ。桐生君。今、この店にはアンタの幼馴染みが……」
「俺の幼馴染み? 凪がどうかしたのか?」
「アスナー、追加注文お願い。ダブルホットケーキのメガ盛り追加だから! 急いで作って……てっ! 士郎?」
「凪? お前、ここで何やってんだ?」
「いや、アスナに臨時でバイトを頼まれただけなんだと……何でアンタとヒーちゃんがマスドに一緒に居るわけ?」
そこにはマスドの制服姿をした凪がトレーを持って現れた。そして、良く見ると窓際の席には
「フフフ、それはね。ナーちゃん。桐生君は今、私と放課後デートの真っ最中だからなの」
「な、何ですってえぇぇ!!」
ゴロゴロ──ピシャアー!!
おい。何だ今の? 効果音みたいな雷が一瞬起きたような。いや、今はそんな事を考えている場合じゃない!
凪が謎かフリーズして動かなくなってしまった。
「マスドで飛鳥学園が誇る二大美少女が鉢合わせ。アンタ。まんまと小鳥遊さんにはめられたわね。桐生君」
アスナがいつの間にか俺の隣に来て、そんな事を告げる。
「は? はめられた? 誰に?」
「小鳥遊さんに決まってんでしょうが。昼休みの時もあんな食堂から見える位置に座ってたしさあ……本当、凪に対してライバル意識が高いね。昔から」
「小鳥遊さんが凪にライバル意識? そんな話聞いたことないぞ」
「ヒーは昔からそう…あっ! ヤベ、人前でヒーって呼ぶとキレるんだった。小鳥遊さんは昔からそうよ。凪に対抗意識ありまくりで、いつもN・T・Rする妄想にふけっているの。アホの子よね。まあ、凪も負けず劣らずのアホな行動をするけどね」
アスナは小鳥遊さんと凪を両方指差して笑い始めた。
「「誰がアホの子達よ」」
それに反応してアホの子達はアスナに詰めより、怒り始めた。
何だ? この2人、意外と仲が良いのか? 確かお互い親友同士なんだよな? 昔からの。
「はいはい。お客様は早く注文して下さい」
「ヒァー! アーちゃん。頬を引っ張るのを止めなさい!」
「臨時のバイトちゃんは確り働け」
「ヒファイ! 頬っぺたちぎれちゃうからー!」
おお! 流石、姉御肌のアスナさん。相手が二大美少女だろうと容赦なく、両者の頬っぺたに制裁を加えるぜえ!
「そして、アンタは私等からの取り調べがあるから、注文終わり次第。竜胆達の所に逃げずに行きな。アホの桐生君」
「は? 何で俺が竜胆達の所に……痛たた!! 分かった。行くから頬っぺたをつねるな」
「ふん! 分かれば良いのよ」
「ほら。凪もそろそろ。臨時のバイト終わりなんだから、制服に着替えて
「う、うん。分かったよ。アスナ」
アスナに言われ、凪は店の奥。スタッフルームへと入って行った。
そうして俺はアスナの拘束から解放され、注文を終えると。1人で竜胆達が居る窓際のテーブルへと向かった。
「ちょっと! アーちゃん何をするの……ヒァーハハ……また頬っぺたつねった!」
「ヒー、アンタ。やり過ぎ。これから皆、揃って今回の間違った告白の件を話し合うから覚悟しときなよ」
「へ? 間違った告白の件? 何の事……ヒャハハ! 分かってます。分かってるから頬っぺたから手を離してぇ!」
「たくっ! この小悪魔は凪の事になると容赦なくなるんだから」
「仕方ないでしょう。今回は桐生君が絡んでるだから」
「桐生君ねえ。凪もそうだけど。何であんな鈍感男に夢中になるのか分からな…」
「私の前で桐生君の悪口は止めてくれる!……はっ! ご、ごめんなしゃい」
「……! ヒーのその反応。へー、今回は本気何だ? 以外だね。私はてっきり男避けかと思ってたんだけど。その反応を見ると考えも変わってくるかな」
「何の事? 私はただN・T・Rのシチュが好きなだけで……」
「分かった。分かった。なら、凪から奪ってみなよ。アンタの運命の王子様をさ。(まぁ、私は凪を応援するんだけどね)」
アスナは小鳥遊さんに何かを伝えて、彼女の背中をおもいっきり叩いった。
「痛い?! ウワプッ! アーちゃん……酷いよ」
そして、小鳥遊さんは何故か体勢を崩して転びそうになっていた。あわあわしている……そんなおっちょこちょいな姿も可愛いらしいと思ってしまった。
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