第22章:母との再会

アートフェアの合間、美月は母・奈緒からメールを受け取った。「美月、あなたの活躍、ニュースで見たわ。ロンドンにいるなら、話したい。近くにいるのよ」


奈緒は再婚相手の仕事でロンドンに滞在していた。美月は一瞬ためらったが、湖畔での決意を思い出し、会うことを決めた。悠真に相談すると、彼はこう言った。


「美月、君のペースでいいよ。俺、そばにいるから」

その言葉に背中を押され、美月はロンドンのカフェで奈緒と再会した。


奈緒は落ち着いた雰囲気で、娘を見つめた。


「美月、こんな大きな舞台で作品を発表してるなんて……。本当に、誇らしいわ」

美月は複雑な気持ちで頷いた。


「お母さん、ありがとう。でも、わたし、ずっと、あの時のこと、引きずってる。『いらない』って言われたこと、忘れられない」

奈緒の目には涙が浮かんだ。彼女は深く息を吸い、こう話した。


「美月、あの頃の私は、離婚で自分を見失ってた。あなたを傷つけたのは、私の弱さだった。あなたは、いつも愛されるべき子だった。私のせいで、それを信じられなくなったんだよね。ごめんなさい」


美月は涙をこらえ、震える声で言った。



「わたしも、怖かった。お母さんを許すの、簡単じゃない。でも、嫌いじゃない。少しずつ、わかり合いたい」

奈緒は泣きながら娘の手を握った。


「ありがとう、美月。どんな時間でも、待つから。あなたが幸せなら、それでいい」

対話は短かったが、美月の心に大きな変化が生まれた。母の謝罪は、彼女の傷を完全に癒すものではなかったが、愛されていた事実を知ったことで、自己否定感が少しずつ溶け始めた。

その夜、悠真に報告すると、彼は彼女を抱きしめた。


「美月、すごいよ。ほんとに、強いな」

悠真の瞳に映る自分は、過去と向き合う力を取り戻した人間に見えた。

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