第20章:試される絆

アートフェアの開催が近づき、美月と悠真は最終調整に追われた。だが、悠真の心はまだ不安定だった。姉の事故の写真を巡る遥の提案が、彼の心に暗い影を落としていた。美月は彼を支えようとしたが、すれ違いは深まった。


ある日、悠真がスタジオで一人、姉の事故現場の写真を見つめていた。


美月が入ってくると、彼は慌てて写真を隠した。


「悠真、その写真……見せてくれる?」


美月の声に、悠真はためらったが、ゆっくり写真を渡した。


雪に覆われた崖、壊れた車の残骸。美月は胸が締め付けられた。


「これ、撮ったの、悠真?」


「うん……事故の後、現場に行って、撮った。姉貴の最後の瞬間を、残したかったんだ」


悠真の声は震えていた。


美月は写真を手に、彼の手を握った。


「悠真、この写真、使わなくていいよ。でも、隠さなくていい。わたし、君の全部、受け止めるから」


その言葉に、悠真の目から涙がこぼれた。


彼は美月を抱きしめ、囁いた。


「美月、君がいてくれて、ほんとに救われてる」


アートフェアの前夜、二人は湖畔の町を思い出し、スタジオで湖の写真とイラストを見つめた。美月のイラストには、湖の光と、過去の傷を癒す希望が込められていた。


悠真の写真には、再生への願いが映っていた。


「美月、俺たち、このフェア、絶対成功させよう。そして、もっと先に行こう」


悠真の言葉に、美月は頷いた。


「うん、一緒に、未来を描こう」


二人の絆は、試練を経て、少しずつ強くなっていた。だが、遥の影と、母との未解決の感情が、物語の次の展開を待っていた。

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