森のお屋敷
あみねここ
第0話 不確かな噂
現代では禁忌とされている黒魔術。それは最近までは滅びた魔術だとされていた。だが、近頃になると黒魔術が使われているという痕跡があったと言われているらしい。その黒魔術とは、『成り代わり』というものらしい……。
詳細は分からないが、『成り代わり』を受けると何もかもを失うという……
ある地方に伝わる噂。
『町外れにある大きな森には近づくな』
その噂はある地方に住んでいる者なら誰しも聞いたことのある噂である。だが、なぜそう言われているのかはあまり知られていない。現に、その森には狩猟者が行き来している。そこは動物の過ごしやすい環境が比較的揃っているから、数多くの大型動物が、生息しているため、絶好の狩場と言えるだろう。
だが、そんな森になぜそのような噂が立っているのか、それは”その森に立ち入ったものは自分自身に関する記憶さえも失くしてしまうから”と言われている。しかし、はっきり言えば動物が多く怪我をする可能性が高いからという方が仮説として有力である。
そして、最近は森の奥には大きな屋敷があるなどという新たな噂が広まりつつある。
その噂には続きがあり、『森のお屋敷でもてはやされ、満足したから帰ってきた』というものらしい。はっきり言って信ぴょう性は薄かった。
だが、最近はその噂を確かめるため何人も森に入っていった。そして、一部の帰ってきたもの達は口々に『森のお屋敷にもてはやされ、帰ってきた』などと言う。
だが、噂を確かめに行ったうちの1人が『森のお屋敷で恐ろしいものを見た』と言う。その【恐ろしいもの】がなんなのか聞こうとしても決して口を割らなかった。
その噂はたちまち広まり、皆森を恐れなかなか人の立ち寄らない場所となった。
狩猟者も立ち入らなくなってきてしまった、そんな状況を見て、ある青年が森に入る覚悟を決めた。
その青年とは16ばかりのまだ幼さの残る少年ルーシェという者であった。彼は一言で言えば見栄張りのために森に入る覚悟を決めたのである。
ルーシェは親に勘当され、一人暮らしをしており、森へ近づくことを誰にも咎められなかった。だが、万が一誰かに止められては困るので、町の人がが寝静まった夜に森に行くことにした。
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